*子犬*
 
『不安』という名の現実。
己の感情。
愛しい人の『笑顔』
いつでも、待っているから・・
望んでいるから。
 
 
 
 
「・・寒い」
「は?」
不意に犬夜叉から発せられた言葉に思わず動揺してしまう。
今、かごめと珊瑚と七宝は隣の部屋で寝ているだろう。
一日中歩き回って(道に迷ったとも言う)やっとの思いで
宿を確保したのだ。
しかも着いたのは夕方。
みんなご飯を食べてお風呂にすぐ入って寝てしまった。
・・・なのに。
自分は眠れない。
疲れてはいるが何故か眠る気になれない。
犬夜叉もそうなのだろうか?
「どうしました?」
「なんか・・・体がおかしい」
「・・・・・?」
「頭がくらくらする。」
「犬夜叉・・お前」
犬夜叉の額に手を当てると普段よりもかなり熱かった。
「熱あるじゃないか!」
「熱・・・?」
「とりあえず水汲んできますから布団に入って寝てなさい!」
立ち上がろうとした瞬間に犬夜叉の腕が俺を捕らえた。
見ると熱っぽい瞳で俺を見上げてくる。
「いいから・・此処に居ろよ。」
「でも・・」
「いいから!・・居て・・くれよ・・・」
 
やはりまだこの間のことを引きずっているのだろうか。
俺が犬夜叉に別れを言った時のことを。
あんな思い、二度としたくは無かった。
犬夜叉だって、きっと・・・
 
「分りました。でもそこじゃあ冷えます。ほら、こっちに来なさい」
自分の布団に犬夜叉を誘う。
だが相手は動く様子を見せない。
・・警戒しているのか?
「いい」
「どうして」
「・・・・・・・」
「ほら、はやくなさい」
二度目の呼びかけでようやく動き始める。
もそもそと布団に入ってくる。
子犬みたいだな、こいつは。     
           
「・・・暖かい」
自分のすぐ隣でうずくまっている犬夜叉。
「・・それに、安心する・・」
「・・・犬夜叉・・・」
そっと犬夜叉の頬に手を添える
いつもより少し熱くて。
だけどその
『いつも』が不安になる
この時がいつか消えてしまうんじゃないかって。
だからいつでも自分の傍に置いておきたくなる
・・・無理なことだけど。
「ずっと・・傍に居てくれるよな?
離さないって、言ったよな?」
犬夜叉の潤んだ瞳が弥勒を捕らえる。
どうして
なんでこの時出逢ってしまったんだろう?
自分の傍には『守りたい人』も『信じれる人』も創らないって決めたのに
 
なのに
 
貴方は
 
どうしたら 俺を 解放してくれる?
 
「・・・弥勒・・・?」
犬夜叉は返事が無かったのことに少し
不安になった。
 
コ タ エ テ
 
「みろっ・・!」
言いかけた言葉を寸前で止める。
言ってしまったら
離れられなくなる
貴方のことしか
考えられなくなる
 
「・・・犬夜叉・・・・?」
「・・・なんでもねえ・・・おやすみ」
「・・・・・おやすみなさい」
 
 
全てのを知ってみよう?
 
窮屈な感情から逃れたいのなら
 
でもそれは許されない
 
だけど  助けることならできるかもしれない
 
だから    
 
全てを、受け入れよう?
 
 
 
 
後書き
はうあ〜。なんか良く分かんなくってごめんなさい〜
でもとりあえずはやっぱし『現実』が『残酷』であるゆえ・・・
といった所でしょう(←何を勝手に)






典麗さま、すごく素敵な作品ありがとうございました♪
普段は強がっているけど弥勒の前では弱みを見せてしまう犬夜叉。
心に闇を抱えながらも犬夜叉を想わずにはいられない法師。
触れてはいけないその禁断の扉が今正に・・・
遊丸の勝手な受け止め方かもしれませんが、
そういう危ういものが切ないくらい張り詰めているのを感じます。
やっぱり弥犬はサイコーなのだ♪

文章と同様繊細なイラストまで付けて頂いて、とっても嬉しいす〜〜♪
典麗さまのHPへはリンクページから飛べます。
これまた素敵な詩も書かれていらっしゃいます。

コメント by 遊丸@七変化

2002/06/26
イラストを更新。
典麗さま、らぶらぶの弥犬絵ありがとうございます♪