この紐千切れば 飛べるだろうか?

馨しい 君の待つ花園へ?

僕を縛る この紐千切れば 飛べるだろうか?

曇りなき深い瞳で振り返る その君の傍へ?





天国でも 地獄でもいい

君だけを見てる

天上に咲く蓮が どんなに清かろうとも

針の筵が どんなに痛かろうとも

いつも僕は 君だけを見てる

柔らかそうで 悲しいくらい透き通る その命だけ

触れたい 触れられたい 

君の命に 僕の命を 重ねてみたい

この紐千切れば できるだろうか?





だけど・・・・・



この紐千切ろうと 手をかける

途端に君は 知らん振り

優しげな 君の笑顔ほど 遠くに見える

僕はその手を置いたまま まぬけな笑顔を返すけど

君は知らないの? 気づかない振りをしているの?

そんな時 僕はいつも泣いている 深い心の奥底で


ねぇ この紐千切っちゃいけないの?





僕を縛るこの紐

それは意外に心地良く 

どこか遠くへ吹き飛びそうな 僕の心を 繋ぎとめ

そうして 安らかに 残酷に 僕を 少しずつ 殺してく



僕を君から 遠ざけながら





この紐千切れば 飛べるだろうか?

この紐千切れば 飛べるだろうか?




僕はまた 手をかけたまま途方に暮れる




この紐千切れば 叶うだろうか?

この紐千切れば 叶うだろうか?




幾千の安らぎの場所と引き換えに




この紐千切れば 届くだろうか?

この紐千切れば 届くだろうか?




僕を悲しませる 君のその優しさの向こう側へ





けれど君は 優しい怖がり


僕が紐を千切るのを 許さない

僕が君に触れるのを 許さない





だから僕は今も 途方に暮れたまま


君の優しさはもう 欲しくない





この紐千切れば 君は  君は・・・・・





≪解放≫