「高耶さん?」

身体に妙な重みを感じて目を覚ますと、間近に高耶の顔があった。昨夜眠りについた時のまま、高耶は一糸纏わぬ姿で、やはり一糸纏わぬ直江の身体の上にぴたりと自身の身体を重ねている。

「た、高耶さん…?」

「何だ?」

唇同士が触れそうな距離で高耶が短く問い返す。昨夜の情事のせいで少し嗄れた声がひどくセクシーだ。窓から差し込む光が、ところどころ赤い花を咲かせる高耶の肌を明るく照らしている。

「朝ですよ?」

「ああ、そうだな。おはよ」

そう言うと、軽く唇を重ねてきた。数秒甘い口づけを堪能した後で、直江はこの夢のような状況に溺れそうになる己を叱咤して、枕もとの時計に目をやった。八時半である。久々の逢瀬に空が白み始める頃まで求め合った末、いつの間にか疲れ果てて寝てしまい、すっかり寝坊してしまったようだ。

「おはようございます…と言うか、あの…私、九時から作戦会議があるんですが…」

「それがどうした」

高耶は何でもないことのように言ってのけ、左手で直江の髪の中に手を突っ込み、頭をまさぐり出した。下腹の辺りは、さっきからガツンガツンと硬いものが当たっている。直江は頭がクラクラしてきた。

「この状況ですと、私は会議に遅刻してしまいそうなんですが…」

「ああ。心配するな。その会議、オレが行かなければどうせ始まらない」

不遜な物言いに、直江は白旗を揚げた。小さく吐息し、高耶の裸の腰にするりと手を回す。

「いけない隊長ですね。昨日のじゃ足りなかったんですか?」

チュッと音を立てる口づけを繰り返しながら、高耶は喘ぐように答える。

「足りない…まだ、お前が、足りない…」

「もう知りませんよ。腰が立たなくなっても」

直江は腕に力を込めて、下から高耶の身体を思うさま抱きしめると、そのまま夜の続きへと堕ちていった。






朝っぱらから何なんでしょうか、このイチャイチャ主従は。
赤鯨衆放逐されても文句言えないと思います…。
最近、邂逅編を読み始めたのですが…あれはあれで面白いと思うものの、二人の険悪すぎる空気に何かが溜まってきたらしく、生み出したものがこれです。
さあ、ここで好きなだけイチャつきたまえ。幸せになっ!







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