今年もまた桜が満開になりましたね。
見えますか、高耶さん。
桜吹雪がとても美しい。
今年はどこへ花見に行きましょうか。
京都? 仙台? 日光?
それとも、松本の桜が見たいですか?
でも、やっぱり…新潟に行きましょうか。
越後の桜、見たくないですか?
目に見えるものはみんな姿形を変えてしまったけれど、
桜が散るさまだけは、昔と変わりありません。
勇ましく、ドラマチックで、痛みを覚えるほど美しい。
まるで、あなたのようですよ。
見えていますか、高耶さん…。
最終巻の直江の決意を思うと、胸が苦しくなります。
悲しみに浸る素振りがまったくないところが、一層悲壮感を煽るんですよね。
でも、悲しまず、嘆かず、淡々と歩いていくことが、直江の愛と忠誠の証なんだなと、すごくよくわかります。
どれだけ苦しいことか知れないのに、それはひとえに高耶さんのためなんですね。
憎しみと隣り合わせだった、エゴにまみれた愛情が、よくここまで昇華したなと…。
逆境が二人の愛を研ぎ澄ませたのでしょう。
ああ、でも悲しすぎる。
思い出しただけで、不覚にも目から汗が…ちくしょう。