オウギタカヤ。
さよなら、オレの最後の宿体。
うつわを奪った罪は消せないけれど、
オレはおまえの体が好きだった。
傷つき、泣き濡れ、彷徨ったこともあった。
絶望に狂いだし、命を絶とうとしたこともあった。
でも、その体でオレは抱きしめることができたのだ。
最高のものを。
愛するものを。
その両腕で愛しいものを思うさまかき抱いた。
背骨が軋むほど、激しく抱き返された。
業火に焼かれるような抱擁。
熱風の中、果てしなく求める口づけ。
ひとつに絡み合い、もつれ合いながら堕ちていく、
その苦痛と快楽の狭間で、オレは確かに生きていた。
あんなに熱くたぎった血潮は、
力強く脈動していた心臓は、
今はもう応えない。
愛するものの記憶を残す細胞が、ひとつひとつ死滅していく。
ありがとう、オウギタカヤ。
おまえのその体に刻み込まれた情熱は、
この男がきっとこの世の果てまで持っていってくれるから。
大切に抱いていってくれるから。
だから、もういいんだ。
最期に信じられて、よかったな。
さよなら、オレの亡骸。
泉に沈んでいく自分の亡骸を、直江の中から高耶さんが見つめているシーンですが、なんでこんなに悲しいものを描いてしまったのでしょうか。自分で描きながら滅入ってしまいました…。