大人の本気!?ツアー in 烈夏の京都

〜みなぎわに涼をもとめて

後編




旅行日:2012年7月18日〜19日

◆行程:
※下線はミラツアスポット
※グレー文字は前編にて


◇7月18日:
東京駅→(こだま)→京都駅→(JR奈良線)→東福寺駅→(京阪本線)→出町柳駅→(叡山電鉄)→鞍馬駅→(徒歩+ケーブルカー)→鞍馬寺→(徒歩)→貴船「ひろ文」(ランチ)→(徒歩)→貴船神社→(徒歩)→貴船駅→(叡山電鉄)→出町柳駅→(京阪鴨東線)→祇園四条駅→(徒歩)→四条大橋→(徒歩)→円山公園→(徒歩)→ねねの道〜石塀小路〜二年坂〜三年坂〜清水坂→(バス)→祇園界隈〜白川沿い
→(徒歩)→
四条大橋→(徒歩)→先斗町→(徒歩)→まんざら亭団栗店(夕食)→(徒歩)→四条河原町→(バス)→京都駅前→(徒歩)→リーガロイヤルホテル京都→(徒歩)→新・都ホテル

◇7月19日:新・都ホテル→(徒歩)→京都駅→(徒歩)→鴨川べり→(徒歩)→豊国神社→(バス)→京都駅前→(徒歩)→新・都ホテル→(徒歩)→京都駅→(JR奈良線)→宇治駅→(徒歩)→宇治橋→(徒歩)→中の島→(徒歩)→茶室・対鳳庵→(徒歩)→中村藤吉平等院店(ランチ)→(徒歩)→宇治駅→(JR奈良線)→京都駅→(バス)→京都大学→(徒歩)→銀閣寺→(徒歩)→哲学の道→(徒歩)→水路閣→(バス)→京都駅前→(徒歩)→地下街ポルタ→(徒歩)→京都駅→(こだま)→東京駅

同行者:パートナー






↑の地図は前編にも載せたものですが、ページが変わりましたので、一応こちらにも載せておきます。。

四条大橋に戻ってきました。写真は橋の北東のたもとから。

ギターの弾き語りをするお兄さんがいたりして、さすが京都最大の繁華街のそばですね、人通りが多いです。
そして、やっぱりいました。鴨川名物、等間隔カップル。

高耶さんがハンバーガーを買ってくるのを、綾子ねえさんは、「四条大橋のたもと」に立って待っていたとのことですが、「たもと」っていうのは、この、橋近くの川べりってことで良かったんでしょうか(OVAではそうでしたね)。冬もカップルはいるらしいから、高耶さんと綾子ねえさんも等間隔カップルの仲間入り!?(笑)

川沿いの灯りは、先斗町(ぽんとちょう)の納涼床です。


四条大橋の上から川上(北)を眺めて。
どことなく元気のない綾子ねえさんに、高耶さんは思い切って「二百年前の恋人」について聞いたのでした。

<違うだろ! あんたはすげぇんだよ!」 高耶が声をあらげたので、綾子は驚いた。「景虎」 「だからすげぇんだろ! アテになんないもの、こんなに長く信じてられんのはあんたが強い証拠なんだよ! そうだろうが!」(略)「そうね。信じてるの。あたしは信じているのよ」そう言った綾子の長い髪が川風にあおがれてゆっくりと揺れた。(略)でもそういう綾子の横顔が、なにかひどく疲れているように、高耶には見えた。>(『みなぎわの反逆者』72ページ)

二百年もの間、死んだ恋人が生まれ変わるのを待ち続けている綾子ねえさんの胸中は、計り知れません。いっそのこと待つのを止めた方が楽だろうに。果てしなく不確かなものを信じて、己の中の疑心暗鬼と戦い続けるなんて。慎太郎と出会ったというこの四条大橋付近の景色も、その頃とはすっかり様変わりしているのでしょう。変わらないのは…川の流れだけ? 暗い鴨川の流れの中に、綾子ねえさんは何か不変のものを無意識に見出そうとしていたのかもしれませんね。

鴨川から河原町の方に目を向けると景色は一転、こちらは近代的な繁華街です。

こうして見比べてみると、先斗町の灯りってひどく人情的な感じがしますね。
で、お店の予約時間までまだ少し間があったので、その先斗町を歩いてみました。

昔は一見さんお断りのお店が多かったらしいですが、最近はそうでもないようです。
こんな京らしいディスプレイのお店も。

こういう路地って歩いてるだけで楽しいんですよね。
そろそろ予約した店に向かおうと、先斗町を引き返して来た時、見つけましたよ。四条大橋近くのマクドナルド(四条河原町店)。

高耶さんはここでハンバーガーを買ったんでしょうか。まあ、当時からここにマックがあったのかどうかはわかりませんが。
今夜のお食事処、「まんざら亭団栗店」です。

まんざら亭は、京都市内で展開しているチェーン店ですが、京都ならではのこだわりが感じられる良質な飲食店…だと私は思います。

数日前に電話した際、8時から1テーブルだけ納涼床が空いているとのことでしたので、押さえてもらいました。平日なのに、やはり鴨川の納涼床は人気があるようです。
今回このまんざら亭を選んだ理由は…、だいぶ前に本店の方に入ったことがあり、とても気に入ったからなんです。その時は実は入る店を決めていなくて、たまたま通りかかってふらっと入っただけだったのですが、これが大当たり。味付けはどれも京都らしく上品な薄味で絶妙だったし、町家風の外観も和モダンな内装も素敵でした。特に印象深かったのは目の前で豆乳ににがりを入れて作ってくれるお豆腐。美味しかった(今はこのメニューは無いそうです)。さすが京都と感動したものでした。

で、今回ネットで調べたら、納涼床をやっている店舗もあると知り、こちらの団栗店を予約したわけです。
ひとつ上の写真は、 鱧の天ぷらです。京都つったら鱧でしょう、ということで。身がふわふわで美味でした。


こちらは納涼床の様子。貴船の川床ほどではないですが、冷房がなくても暑いとは思いませんでした。やはり水辺だからなのでしょうか。

テーブルに並んでいるのは、若鮎の塩焼とサラダ(料理名忘れてしまった…揚げ浸しの茄子とお豆腐が入っています)。

レモンも付いていますが、たで酢で頂く鮎が、異様なほど美味しかったです。納涼床で食べるから余計美味しく感じるんでしょうか。
入店した時は真ん中の席でしたが、端の方の席が空いたので、移動をお願いすると、快くOKしてくれました。


向こうに見える橋は四条大橋です。あの辺りで、二百年前に晴家と慎太郎さんが出会ったのかーと、思いを馳せつつグラスを傾けます。
この日飲んだお酒は、京都伏見の日本酒「蒼空」。フレッシュで旨味のある生酒でした。

その次に飲んだのが、写真に写ってる、スパークリング清酒「澪」。最近よく宣伝を見かけるので、一度試してみようかと。アルコール度数5%で、ほんのり甘く飲みやすいとのことですが、私はあまり好みじゃなかったなあ。元々日本酒が好きではない相方は逆に気に入ったようです。しかし、女性に人気というお酒を、私が気に入らず、相方が気に入るっつうのも何だかなー。


お料理は、エビマヨ的なものと、ピリ辛こんにゃく煮。他にも、くみあげ生湯葉とか鰆の西京焼きとか頼みましたけど、ほんと、何食べても外れがないんですよねえ。
大満足でまんざら亭を後にします。

写真は、団栗橋(四条大橋よりひとつ南の橋)の上から見たまんざら亭の納涼床。

因みに、京都の夏の風物詩であるこの川床、貴船の場合は「かわどこ」と読み、鴨川の方は「かわゆか」と読むのが一般的なのだとか。なので、納涼床も鴨川の場合は「のうりょうゆか」らしいです。


10時過ぎにまんざら亭を出て、四条河原町からバスに乗り、京都駅前まで戻ってきました。宿泊する「新・都ホテル」は駅の南側ですが、その前にミラージュファンにとっては外せないあの場所へ…。
↑の地図に載せた豊国神社は翌朝行きます。

やっぱりここはどうしても見ておきたい!ということで、やって来ましたリーガロイヤルホテル京都。

以前、大阪のリーガロイヤルホテルには泊まったことがあり、その時に食べたホテルパンが種類が多く美味しかったので、今回もお店が開いていれば買いたかったんですけど…、いかんせんこの時間じゃもうやってないですね。静かに見学だけさせてもらおうと思います。

あ、そう言えば、その大阪のリーガロイヤルホテルって、中之島にあるんですが、狭間社長と直江が村重に襲われた「中之島のロイヤルホテル」は、このリーガロイヤルホテルのことですよね?
狭間社長と直江が京都で宿泊したホテルについては、「堀川塩小路ちかくのホテル」とだけ書かれていますが、このリーガロイヤルホテル京都で間違いないかと思います。

先ずは気になっていた「右手(玄関から出て右手)の駐車場」の様子を…。

なるほどなるほど。確かに駐車場があります。しかし、ここって結構人目につく場所ですね…。こ、こんな場所で直江は高耶さんにあんなコトを!?(OVAでは地下の駐車場ということになっていましたが)
<「その高慢な口を、封じてあげる」 直江の唇が高耶の唇を追って近づく。避けるように必死で顔を背けると、男はかわりに耳朶を噛んだ。「な……んのつもり……だ」「あなたと、やりたいんですよ」>(『みなぎわの反逆者』131〜132ページ)

ほんと、人目を憚らぬイチャイチャ主従だな(笑)。
玄関を入ると、正面にフロント。

左に行くと、ラウンジがあります。
遺髪曼陀羅の売買契約が行われたラウンジ。

高耶さんと軒猿は入り口近くの席に座ったようです。

ケバい女に憑依した軒猿も笑えましたが、「こういう女が直江の夜を一緒に過ごす女に違いない」と思って腹を立てる高耶さんも可愛かったですね。
ラウンジの入り口付近からエレベーターホールの方を撮影。

やがてエレベーターホールの方から直江が狭間社長と歩いてくるのを見て、高耶さんは目を疑ったのでした。直江が他の男に付き従っているのを見て、内心嫉妬の炎をメラメラ燃やしていたのでしょう。
<直江は振りむきもしないで、高耶の腕を強引にひきながら、ホテルの玄関のほうへ歩いていく。有無も言わせずエレベーターに乗りこむと、迷わず自分の部屋のある六階のボタンを押した。>(『みなぎわの反逆者』134ページ)

あ、勢いで乗ってしまいました…。点灯している階数ボタンはもちろん六階…。大人の本気を教えてあげる…(笑)。
あーいやいや。用も無いのにウロウロして、リーガロイヤルホテルさん、すみませんでした。いつか機会があれば、ちゃんと利用させて頂きたいと思います。

ところで、9巻の濡れ場と言えば、あの伏字が有名ですが、あれって、「右の××(タマ)はほんのすこし×××(小さい)」でいいんでしょうか?(書いちゃったよ、この人…笑)。合ってます? しかし、こうして見ると、伏字の方がよっぽど嫌らしい感じがするから不思議です。
新・都ホテルにチェックインしたのは11時過ぎ。

値段の割には、いいホテルです。駅から近いし。やはり、駅の南側だから安いんでしょうね。

ホテル内のお土産ショップが充実していてよかったです。朝7時から開いているのも便利。
さて一夜明けて、翌朝6時前にホテルを出ます。本当はもっと暗いうちに出たかったんだけど、すっかり明けちゃいました。

相方を残して、散歩がてら豊国神社まで歩きます。


写真は新・都ホテルの外観。昨日撮っていなかったので(※撮影したのは豊国神社から戻ってきた時)。
駅の南北自由通路を越えて、烏丸中央改札の前にやって来ました。高耶さんと綾子ねえさんが待ち合わせをした場所ですね(京都駅の駅ビルは1997年にリニューアルされていますので、当時とは様子が少し違うと思いますが)。高耶さん、ここで煙草吸ってましたよねえ。駅構内で煙草吸うなんて、今じゃ考えられないですし、時代の流れを感じます。

昔は、この京都駅の北口のことを、確かに「烏丸口」と言ったと思うのですが、JRの構内図にも、案内板にも、どこにも「烏丸口」の文字がありません。どうやら今ではただの「中央口」と呼ぶようです。
駅の北側に出ると、目の前には京都タワーが。昭和39年竣工というだけあって、いい感じのレトロ感が漂っています。

京都駅と、この京都タワーの間を東西に伸びる「塩小路通」を東に向けててくてく歩いて行きます。

京都に行かれたことのある方はご存知かと思いますが、ミラージュの中で出てきた「堀川塩小路」という地名、これは南北に走る「堀川通」と東西に走る「塩小路通」が交差する場所だから「堀川塩小路」と言うんですね。「四条河原町」等も同様です(「百万遍」は例外。…阿木さんのハイヤーが百万遍の交差点を通っていましたね)。
塩小路通りを東に歩き、鴨川まで辿り着きました。川べりに遊歩道があるので、『みなぎわ〜』のラストシーンを思い出しながら、少し歩きます。

向こうに見える橋は、「七条大橋」。鴨川に架かる現存橋の中では最も古い橋なのだそうです。
サギらしき鳥を発見。アオサギのようです。

水鳥は、見かけたのはこの一羽のみでした。やはり冬の方が多いんでしょうね。

綾子ねえさんが水鳥たちにポップコーンをあげていると、鳩まで寄ってきていましたが…


ここにもいました、鳩さんたち。どうやら誰かがここで餌をあげていたようなんです。人影を見たような気がするんですけど…気づいたらいなくなっていました。もしかして、高耶さんの幻?(笑) そう、高耶さんが小鳥に餌をあげるシーンは良かったですね。無邪気な高耶さん、貴重過ぎる…。

<かたわらの高耶が、右腕で綾子の肩を包みこむように抱き寄せた。必ず会える、と。心から祈りを送るように高耶はささやいた。(きっと会える……) ぬくもりが、胸を締めつけて哀しい。綾子は高耶の体に顔をうずめるようにして泣きだした>(『みなぎわの反逆者』263〜264p−ジ)

高耶さんは優しいですね。綾子ねえさんの痛みを思いやり、心の底から彼女の幸せを願っている。…けど、この『みなぎわ〜』という物語を読んで、景虎にとって晴家という存在は一体何なのだろうと、ふと疑問にも思えてしまうのです。直江に「晴家ごと討て」と言ったり、綾子ねえさんに「あんたはあたしごと調伏していたはず」と言われて顔をこわばらせたり。まあ、直江に言った言葉はほとんど嫌がらせ?であって、本心とは言えないと思いますが。しかし、結局のところ、(慎太郎とはまた別の意味で)景虎を心の拠り所としている部分が大きい晴家に対し、景虎にとって晴家は、「庇護すべき存在であるけれども、心を開く相手ではない」ということになるのかなという気がします。そう思って見ると、このラストシーン、高耶さんに抱かれて泣くことができる晴家よりも、ある意味もっと壮絶な孤独が、高耶さんの背中に見え隠れしているような気がしてならないのです。

※写真は七条大橋付近の鴨川べりです。原作では、ラストシーンは「鴨川べり」とだけ書かれています(やはり四条大橋付近をイメージしているのではという気がしますが…)。

ホテルを出て40分ほどで、豊国神社に到着。京都に着いた高耶さんと綾子ねえさんが最初に来た場所です。

<ここは太閤・豊臣秀吉を祀った神社で、一般には“豊国さん”の名で親しまれている。伏見桃山城から移した国宝の唐門があり、北側には有名な方広寺もあって、豊臣氏の盛衰を物語る場所だ。>(『みなぎわの反逆者』57ページ)
こちらがその唐門。豪華絢爛な桃山建築です。

この唐門の前で、軒猿が高耶さんたちを待っていたのでした。白衣女の存在をつい数ヶ月前に知ったばかりだというのに、もう軒猿を使いこなしている高耶さん…怖い人だ。
瓢箪の形をした絵馬がたくさん下げられています。

この形だと文字通り角が立たないと言うか…、立派な国宝の門に吊り下げられていても、不思議と馴染んでいるように見えました。
豊国神社の石段。思ったより短い…。

<高耶は石段の途中で振り向いた。景虎特有の冷ややかな瞳をしていた。(略)「おまえはいつだってオレに従えばまちがいないんだ。心配する必要はない」>(『みなぎわの反逆者』61〜62ページ)

こういう景虎の示威を頼もしく感じる晴家は、良くも悪くも直江とは違うということなんでしょうね。綾子ねえさん、ここで青空を見上げながら慎太郎さんのことを想っていましたが…、この時はあいにく曇り空でした。
結構歩きましたので、帰りはバスに乗ります。

バスロケーションシステムが導入されているので、あとどれくらいでバスが来るかわかるようになっています。渋滞とかで運行時間が不規則になっている時は便利ですよね。
京都は朝から暑くて、ホテルに帰るとシャワーを浴びずにはいられないくらい汗だくでした。

昨日買っておいたパンで簡単に朝食を済ませた後、8時半くらいに再度ホテルを出ます。


写真は京都駅を出る奈良線。これに乗って宇治まで行きます。
乗車時間25分でJR宇治駅に到着です。


宇治川の「中の島」は、円山公園から逃れてきた村重と綾子ねえさんが辿り着いた場所です(結構距離があるけど…バイク移動かな?)。そして、そのまま『みなぎわ〜』のラストバトルの地となりました。
私たちは中の島まで散策した後、お抹茶と、ランチに茶そばを頂く予定です。宇治と言えば、やっぱりお茶ですからね。

私たちが降りたのはJRの宇治駅ですが、作中に名前だけ出てきた京阪線の宇治駅は、宇治橋のすぐ北側にあります。


写真は、JR宇治駅の駅前。宇治らしいお茶カラーのゲートは、宇治橋通り商店街、平等院表参道へと続く道の入り口。
宇治橋通り商店街を真っ直ぐ歩いて行くと、宇治橋に到着。

宇治が『源氏物語』の「宇治十帖」の舞台であることから、紫式部像が建っています。
先ずは、宇治橋の上から中の島を眺めてみることに…。

そして、思っていたより細い島でびっくり。

右に架かっている白っぽい橋が「橘橋」、左に架かっている赤い橋が「朝霧橋」です。
宇治は、川の色までお茶色でした。

それにしても、随分と流れが激しく水量が多い。この後、中の島に立っていた看板を見て知ったのですが、上流にダムがあって、放水するとかなり増水することがあるのだそうです。
宇治橋を見たら、平等院表参道へ。

お茶屋さんが建ち並び、お茶の香り漂うこの道は、「日本かおり風景100選」に選ばれた道だそうです。
道なりに歩いて来ると、橘橋の前に出ます。
橘橋を渡ったところ。

島の幅は、歩いて数歩ってとこです。
宇治川と、その流れの向こうに見える山。

橘橋が架かっている側とは違い、こちらの朝霧橋が架かっている方の流れはかなり急です。


村重と綾子ねえさんが佇んでいた水際はどの辺りだったのでしょう。二人が追っ手に見つかった際、頼廉が渡ってきた朝霧橋を「背後の橋」と書いているので、二人が立っていたのは橘橋の側の水辺でしょうか。そして、頼廉が現れた後、橘橋の方からも追っ手が迫り、挟み撃ちにされたことから、位置的には朝霧橋と橘橋の間くらいと見ていいかもしれません。…と言うことで、その辺りの景色を一枚。水際に降りるこの階段、OVAの中でしっかり描かれていましたね。

<「あたし、何を信じてあのひとを待ちつづければいいの? 何を信じればいいの? あたし自身も信じられないんだったら、何を信じて捜せばいいの?」 村重は眉根をよせて辛そうに、綾子に憐憫の情を寄せている。(略)冷たい川原の風から綾子をかばうように、村重は綾子を抱き寄せた。>(『みなぎわの反逆者』210ページ)

村重と綾子ねえさん。全く異なる人生を歩んできた二人ですが、互いに、何かしら共鳴するものがあったのかもしれません。

こちらは朝霧橋。

頼廉がこの階段を降りて、二人に歩み寄ってきました。いい雰囲気だったのに、まったく不粋な輩ですね(笑)。

バトルの末、この橋は破壊されてしまいました。
島の北端から。

七百余りの怨霊群が暴れ、数百もの天狗たちが活躍したラストバトルの舞台にしては、本当にこじんまりとした島です。

最後は、己の中に潜む疑心暗鬼と決別するように、村重を自分の手で調伏した綾子ねえさん。「悪鬼は私のなかにいる」という心の中で呟いた台詞が印象的でした。
さて、宇治に来たからにはお茶を楽しみましょうということで、訪れたのは、宇治観光センターに併設された「市営茶室 対鳳庵」。

市営なので、観光センターで料金(一人500円)を払い、茶室に入ります。茶室の入り口は左奥の方。
対鳳庵入り口。

本格的な茶室で、お茶の先生が正式な作法でお茶を点てて下さいます。
銅鑼を鳴らして入室します。

扉が少しだけ開いているのは、「どうぞお入り下さい」の合図なんだそうですね。

京都に来る度、どこかしらでお抹茶を頂いているような気がしますが、その割には、私の茶道の心得は嶺次郎並みです(笑)。でも、「心得ありませんが…」と正直に告げて、敬意と感謝の気持ちでもてなしを受ければ大丈夫…でしょう。
清流に跳ねる鮎をイメージしているのでしょうか。目にも涼やかなお菓子です。
甘いお菓子の後に頂くお抹茶は美味しいですよね。

しかし、お茶を点てる、お茶を頂く…ただそれだけのことなのに、これだけ丁寧に一連の作法で進行するというのは、本当に奥深い世界だなと思います。
茶室の様子。

お抹茶を頂いた後は、道具の説明なんかもして下さいます。市営なので、道具は市の所有物だそうですが、いちいち凝ってて感心してしまいました。


和やかな中にも、どこか背筋の伸びる思いで、茶室を後にします。
平等院表参道にある、「中村藤吉 平等院店」にやって来ました。甘味処として人気があるようですが、茶そばも頂けます。元々は、150年続くお茶屋さんらしいですね。

時刻は11時前。お昼にはまだ早いですが、他に寄るところもないので、入ることにします。
宇治橋通り商店街にある本店と、こちらの平等院店とどちらに入るか迷っていたのですが、平等院店では、宇治川を眺めながら食べられるとのことでしたので、こちらにしました。

この建物は、元は古い料理旅館だったそうです。
レトロな雰囲気の店内。

和色のランチョンマットがいい感じです。
窓際の席に座れました。すぐ外を宇治川が流れています。

少し経つと、すぐに混んできたので、やはり早めに入って正解でした。
頼んだのは、茶そばとグリンティーフロートのセット。

美味しかったですが、おそばはもう少しお茶の風味があってもよかったかな。

今度機会があったら、人気のスイーツメニューの方を食べてみたいですね。
JR宇治駅前の郵便ポストはなんと茶壷形。

こんなところまでお茶なんだなあ。
12時過ぎに京都駅に戻ってきました。

写真は、駅前のバスターミナル。上からひんやりしたミストが噴射されています。暑い日には嬉しいサービスですね。


さて、最後のミラツアスポットは京都大学です。市バスで京大正門前まで行き、大学の中を見学させてもらいます。その後は、相方の希望で銀閣寺へ。銀閣寺から更に哲学の道を通って水路閣まで歩きます。うーん、今回も結構な歩き旅だな。

と言うわけで、こちらは京都大学の時計塔です。正門を入ってすぐのところにあります。

京都大学は、HPによると、キャンパス内の見学は自由とのことですので、勝手に入らせて頂きました(建物内は不可)。HPにはわかりやすい案内図もあって、参考になります。京都大学のHPはこちらからどうぞ。
豊国神社で軒猿から「京都大学に女の霊が出る」という話を聞いた高耶さんと綾子ねえさんは、その日の夜、調査のために大学にやってきたのでした。

<工学部棟では、研究室にまだひとが居残っているのか、ぽつぽつ明かりがついていたが、外を歩くひとの気配はなかった。>(『みなぎわの反逆者』77ページ)

写真は、時計棟の東側に建つ工学部の建物。
霊の気配を感じ取った綾子ねえさんは、高耶さんを案内して、時計塔の右の杉並木を奥に歩いていきました。

こちらがその杉並木。

奥に見える茶色っぽい建物が、綾子ねえさんが霊の気配を感じ取った文学部東館。
<綾子の指さしたのは、四階建ての文学部東館である。□の回廊型をした建物で、真ん中には広い中庭がある。二人は、ピロティに足を踏み入れた。>(『みなぎわの反逆者』78ページ)

だしの霊が居たのは、この棟の東側(写真左側)の二階でした。
文学部東館の入り口(東側)。

建物内は見学不可ですので、ピロティや中庭は確認していませんが、大学内の様子が細部まで合っていて、ちょっと感動。桑原先生も下見に来たんでしょうか。

見学させてもらった後は、東門から出て、銀閣寺の方へ向かいます。
銀閣寺へ向かう道の途中に、「哲学の道」の起点(正しくは終点になるのでしょうか)があります。

哲学の道は、琵琶湖疏水(明治時代に琵琶湖から京都へ引かれた水路。この部分は分流に当たる)沿いの、散策にはもってこいの小道です。
銀閣寺にやってきました。

写真は、総門から中門までの参道。高い生垣の中を進んで行くと、何やら特別な世界へと足を踏み入れようとしているような、妙なワクワク感があります。

銀閣寺のHPによると、これは、「喧噪の現代に生きる我々と、東山殿に現出しようとした浄土世界をつなぐプロローグ」なんだそうな。
白砂で縞模様をつけた「銀沙灘」は月の光を反射させるため、円錐台形の「向月台」はこの上に坐って東山に昇る月を待ったものだという説があるようです。


わびさびの世界ですねえ。
銀閣寺の境内は結構広くて、拝観順路にはちょっとした山道まであります。

私は以前も来たことがあったんですが、こんな道通ったかなあ…。まあ覚えていなくても無理はないです。何せ中学校の修学旅行以来ですから。

当時、学校が外国人観光客とコミュニケーションを取ることを奨励していて(英語学習のため)、この銀閣寺で勇気を出して話しかけた思い出があります。優しいお兄さんでしたが、ヘタクソな英語で話しかけられて迷惑だったろうなあ…。
山の上から境内を見下ろすことができます。

それにしても、暑い。大した山道でもなかったのに、汗だくです。
銀閣寺の象徴・観音殿。

私は中学生の頃から、煌びやかな金閣よりも、この地味な銀閣の方がお気に入りでした。でも確かに、今見ても、見飽きない美しさがあるなあと思います。
銀閣寺の拝観を終え、再び哲学の道を歩きます。

さっき、「散策にはもってこい」なんて書きましたけれど、「夏以外なら」という条件を加えるべきかもしれません。生い茂る緑がささやかな木陰を作ってくれるも、大して意味なし。京都の夏の暑いことと言ったら…。地の底からじんわりと蒸されているような感覚です。川沿いの道なのに、水量が少ないからか、まったく涼しい感じがしません。
でも、桜の季節と紅葉の季節は、本当に素敵です。それに、初夏にはホタルが飛び交うそうですね。


では、今回、哲学の道で出会った生き物たちをご紹介します。

先ずは、鯉。これはいっぱいいました。しかもでかい。
それから、カモ。石の上で休憩しているようです。。

疎水の流れに乗ってスイスイスイ〜と軽やかに泳ぎ去るカモも見ました。気のせいか、通り過ぎる際にドヤ顔されたような気が(笑)。その子はあまりに速くてシャッターチャンス逃しました。
こちらのカメさん…何ガメか判別できず。後でネットで写真を見比べてみたところによると…ニホンイシガメっぽい感じがします。

日本のカメさんには、特にがんばって長生きして欲しいです。
哲学の道を過ぎ、水路閣まで歩いたのですが、銀閣寺から水路閣まで1時間ほどかかりました。

哲学の道は全長2キロほどとのことですが、随分長かったような気がします。やっぱり春か秋に来るべきですね。
水路閣は、琵琶湖疏水事業の一環として明治時代に建設された水路橋です。

琵琶湖から引いた疎水は、農業、工業、水運、飲用水などに使われた他、発電用としても用いられ、京都の近代化に貢献したのだそうです。

有名な南禅寺の境内にあるので、このレンガ造りの西洋建築を建設するに当たっては反対意見も多かったのだとか。今見れば、すっかり景色に溶け込んでいますけどね。
はい、真似してみましたよ。

『炎の蜃気楼紀行』の表紙。


最後に、ミラージュと関わりのある?場所で記念撮影できて、大満足な旅でした。
あ、因みにこの水路閣、今でもちゃんと現役なんです。

建物の上の部分には、こんな風に水が流れています。この水が、さっき歩いた哲学の道の方へと流れていくんですね。京都の川は皆、北から南へ流れており、南から北へ流れているのは、この疎水分流だけなのだそうです。
こちらは南禅寺の法堂。

折角なので、南禅寺の境内を通ってバス停まで歩きました。
京都駅まで戻ってきたのは、4時半過ぎ。たくさん歩いたからか、お腹が空いてしまいました。

地下街のポルタで何か食べようと思います。

そうそう、高耶さんと綾子ねえさんも来てましたよね、ポルタ。
ポルタの中にある喫茶店で、綾子ねえさんはナポリタンを食べ、高耶さんはアイスコーヒーを飲みながら、「こりゃマジでダブリかな」なんてぼやいていたのでした。

この頃は、それでもまだ学校のことを気にしていたんですね。
私たちは、「麺屋かんじん堂」というラーメン屋さんで、柚子切塩ラーメンを食べました。

東寺揚という、海老の湯葉包み揚が入っていて美味しかったです。でも、個人的にはスープに入れないで、別皿で出して欲しかったかな。サクサクした食感も楽しみたかったので。
駅でいくつかお土産を買って、18時9分のこだまに乗りました。

写真は新幹線の車窓から見た夕陽。

今度京都に来るなら、冬がいいなあ。そう言えば、唯一、冬の京都には来たことがなかった気がします。雪景色の古都も素敵でしょうね。
それでは、恒例?現地で買ったお土産コーナー。


先ずは、鞍馬寺で買った「虎の守」。

景虎様から守られているみたいで、何かいいな(笑)。
こちらは、新・都ホテルのお土産コーナーで買った品々。

タオルは、和柄ってことで京都のお土産として売っていたんでしょうけれども、実は今治のもの。軽くて柔らかい手ぬぐいタオルです。立ち寄り湯用として、旅のお供にしようかと。温泉マークは相方のチョイス。私は景虎様の好きな花を意識して。

松栄堂のお香立てと受け皿は種類が多くて、組み合わせを選べて楽しかったです。結局最もシンプルなものに。写真のお香は、同じく松栄堂の「堀川」(これはもともと家にあったもの)。
銀閣寺のお土産屋さんも、なかなか充実していました。

買ったのは、星月菩提樹の念珠ストラップとガラスの銭亀。


右端の銭亀は焼き物で、二年坂辺りのお店で買ったもの。何か、うち、亀グッズが多いな。
右は、祇園辻利で買った水出し冷煎茶。

左は、ポルタのお茶屋さんで買った抹茶。

あ、両方ともまだ飲んでない…。お抹茶は、涼しくなったら和菓子と一緒に頂きたいですね。
最後は、亀きちと亀ぞうへのお土産として買った、お麩の老舗・半兵衛麩の「よもぎ麩」。伊勢丹の地下で購入しました。

亀きちと亀ぞうが食べられそうな京都のお土産って何だろうなと考えていたのですが、ちょっと冒険してなま麩にしてみました。基本的に肉食のふたりにも、このもちっとした食感は満足してもらえるかなと。あと、ハーブっぽいものは好きなので、よもぎ味もいけるだろうと。軽く焼いて、喉に詰まらせないように小さく切ってあげましたが、喜んで食べてくれました。好き嫌いの激しい亀きちも気に入ったようです。

亀のために買ったなんて書くと、お店の方に怒られてしまいそうですが、ここのなま麩は人間が食べても(いや、普通人間が食べるんですが…)非常に美味しいです。以前、おでんに入れて食べたことがあるんですけど、もちもちしてて、味が染みて最高に美味しかった…。今回は、亀きち亀ぞう用に少し冷凍保存して、残りは私たちが焼いて、焼きおにぎり用のみそをつけて食べました。


長々と駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。『みなぎわの反逆者』、そして文字通り「水際」にスポットを当てた夏の京都旅でした。貴船川、白川、鴨川、宇治川、琵琶湖疏水分流…と、水際に遊び、京都の夏は暑かったですけれども、川床では暑い夏を少しでも涼しく風流に過ごそうとする京都の文化を体験することができました。ミラージュ的にも、『みなぎわ〜』のスポットはほぼ回れたんじゃないでしょうか。

『みなぎわの反逆者』は、晴家の恋を主軸にした切ないお話ですが、直高的には二人の関係が悪化の一途を辿った最悪な?巻ですね。そして、関係悪化に伴い、高耶さんの女王様度合いが凄まじいことになっています。そこで、京都ミラツアを記念して、「戦慄を覚えた高耶さんの女王様シーンベスト3」を勝手に発表してみます。

第3位:「コロシテ……ミロ……」
殺意を抱いて喉を締め付けてくる直江に言った一言。抵抗もせず、こんな挑発的な言葉を吐く高耶さんが怖ろしい…。おまえに殺せるもんならな、と強烈な嫌味を付け加える高耶さんが目に浮かびます。

第2位:「後ろに乗れ」
夜中に一人で呼び出された狭間社長を追うため、直江に続いて助手席に乗り込もうとした阿木老人に対して取った高耶さんの態度がこれ。後から現れた高耶さん、ジェスチャーで「後ろに乗れ」と指示すると、自分はさも当然のように助手席に乗り込んだって…。ジェスチャーって、指? それとも顎? 高耶さんのことだから、顎のような気がする。女王様モードを発動した高耶さんは、一般人のおじいちゃんにも容赦ないんですね…。

第1位:「秘書ごっこはもう終わりにして、いいんだぞ」
ひえ〜〜。なんなんすか、この優しい口調の裏に盛られた猛毒は。この台詞が最も怖ろしいのは、直江に対して言いながら、実は狭間社長に向けられた言葉だという点。直江が別の男に仕えているのを見て、内心嫉妬の炎を燃やしていたに違いない高耶さん、しっかりこういうところで仕返ししているんですね…。うちの直江にとってあんたの秘書なんておままごとのようなものだったんだぞと、直江はオレのものであって、オレの命令しか聞かないから、勘違いするなと、暗に狭間社長に釘を刺しているという…。ううっ、背中に悪寒が…。

…という感じで、この巻の高耶さんは本当に凄まじかったですね。まあ、それもまた高耶さんの魅力のひとつではあるんですが…、直江の心労が思いやられます。
レポート書き終わるまで、またしても二ヶ月近く経ってしまいましたが、その間、箱根へ行ってきました。そして、今月(2012年9月)もまた箱根に行ってきます。ミラツアスポットに関しては、昨年の箱根旅で大方回ってしまったので、今回の旅はミラ度は低いですが、一応レポート書く予定です。あ、それと10月には広島に行く予定を立ててます。何か最近行きまくってるな。
 









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