プチ・ミラージュツアー


「ヨコハマグランドインターコンチネンタル」の巻


●旅行日:2012年12月9日〜12月10日

●『炎の蜃気楼』該当箇所:13巻『黄泉への風穴・前編』

●対象スポット:ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル

●同行者:パートナー



基本的に貧乏旅ばかりの私たち。ミラツアに行っても高耶さんたちが泊まった高級ホテルには泊まらず、その地域の安価なビジネスホテルに素泊まりというパターンが多いのですが、前回の江の島ミラツア(2012年4月の「江の島〜鎌倉〜横浜を巡る、黄泉への風穴ツアー」参照)の際に、相方が「このホテルは一度泊まってみたい」と呟いたのをいいことに、泊まってきましたよ、「ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル」。

毎回ミラージュスポットになっているホテルには泊まりもしないのに見学だけさせてもらって申し訳ないので、今回はせめてもの罪滅ぼしという意味合いも込めて。前回は見ることのできなかった部屋の内部、廊下なども含めて簡単にご紹介します。
いつものミラツアとは違い、スケジュールも何も立ててないし、他に見て回るところもあまりないしで油断してたら、家を出るのが遅くなり…。着いたのはすでに日暮れ後。

あ、全体の外観写真撮るの忘れた…。前回のミラツアレポートには載せましたが、みなとみらいを紹介する写真には必ず写っている、あのカマボコ型(本当はヨットの帆の形らしい)の建物です。

2階のフロントでチェックインし、例の階段を横目に見つつ、先ずは部屋へ(作中に登場したこちらの階段についてはまた後ほど)。ひとつ上の写真に写っている正面玄関は、実は2階部分。1階は車寄せです。
ここからは前回立ち入っていない領域。私たちは今回、20階のシティビュー側の部屋に泊まります。

<ふたりは横浜のホテルに戻ってきていた。桜木町のみなとみらい地区にあるベイサイドのホテルだ>(『黄泉への風穴・前編』189ページ)

例の稚児ヶ淵での一件があった日の夜、綾子ねえさんと高耶さんはこのホテルに宿泊したのでした。廊下で(作中には「廊下」と明記していませんが、状況から判断するに廊下で)高耶さんにカードキーを渡した綾子ねえさんが、「男に走るなんて駄目だからねっ。いざとなったらあたしもいるからねっ」なんて血迷った発言をした一幕もありました。でも、それに対する高耶さんの反応がかわいい。「バカ。なに言ってんだ、こら」と言ってねえさんの頭をぽんと叩いたのでした。相手が綾子ねえさんだからこそ、こんなに微笑ましい一幕になったんでしょう(もし直江がこんな発言したらと思うと…色んな意味で背筋が凍る…笑)。
この時の綾子ねえさん、高耶さんのことが相当心配だったようですね。まあ、逆を言えば、高耶さん自身が相当危うい感じがしたということ。

<直江だったら迷わずこんなとき、高耶の胸を強引にこじあけてでも、聞いてやったにちがいない。閉ざした心を、強姦でもするかのような強引さで、こじあけて、楽にさせてやったはずだ>(『黄泉への風穴・前編』191ページ)

自分の部屋へと歩いていく高耶さんの後姿を見ながら、こんなことを思っている綾子ねえさん。確かにね、そうかもしれない。でも、あの男なら、「強姦でもするかのような」というより、文字通り強姦するだろうけど(笑)。

部屋からの眺めはこんな感じ。高耶さんが泊まったのはシティ―ビュー、ベイビューどっちだったんでしょうね(選ぶとしたらベイビューのような気がする…)。
本当は、完全に暗くなる前、空が藍色を残した頃に撮影するのがベストだったんですけど…。

↑の観覧車は「よこはまコスモワールド」の「コスモクロック21」。横浜を象徴するこの大観覧車は、1989年の横浜博覧会のために造られたものだそうで、当時は別の場所にあったらしいです。現在の場所に移転したのは1999年とのことですので、『黄泉への風穴』が発行された時はまだここにはなかったということになりますね。

←の渦巻状に写っているのは、こちらもコスモワールドのアトラクション、スーパープラネット。「強烈な引力と無重力を体験できる高速回転アトラクション」だそうです。
↑の2枚の写真は、窓際ギリギリに三脚を立てて撮影したもので、部屋の中ほどから見るとこんな感じです。

観覧車がすぐ目の前で、結構迫力あるでしょ?

階数的にもこの辺りが理想的なのかもしれないですね。もっと上だと、観覧車を完全に見下ろすようになるし。
さて、部屋の中では色々ありましたよねえ、いろいろ…。

<部屋に入って、ひとりになった高耶は、シャワーを浴びる気も起きず、そのままベッドのうえに座りこんだ。(略)高耶はかたわらに置いた、あのコートを手にとった。手にとって、岩場のときと同じように肩に羽織ってみた。柔らかな暖かさが体を包んだ>(『黄泉への風穴・前編』192、193ページ)

どこか懐かしい温もりに包まれながら、かつてのような執着を感じられなくなった今の“直江”のことを考える高耶さん。直江が死んだという現実から逃避しても、所詮直江がいないという事実に変わりはなく。こういう高耶さんの弱さは、どれだけ直江を強く必要としていたかの裏返しなのだと思うと、泣けてきます。

<カシミアの柔らかい生地に、ひとの体温が残っている気がして高耶は目を閉じた。肉体が、思い出す。直江の体温を。(略)衝動が、体の奥でわき起こる。高耶は歯を食いしばり、そんな自分がたまらなくなって、叫んだ。「こんなはずじゃあねぇだろう!」 羽織ったカシミヤコートをはぎ取り、丸めておもいきり壁に投げつけた>(『黄泉への風穴・前編』203、204ページ)
そのまま自慰に耽ってしまうのではないかと思いきや、危ういところで自制心が働きましたね。あの霧の山荘の日々を経た後の高耶さんと比べると、まだまだ初々しさが残っています。

小太郎の部屋へと移った後も、名(迷)セリフ&名(迷)シーンが続きます。

<高耶はつらそうに眼を伏せると、小太郎の手をとって、自分の肌にあてさせた。小太郎が驚いていると、高耶は傷をさするように、自分の手を重ねたまま静かにその手で愛撫させた>(『黄泉への風穴・前編』215ページ)

<小太郎はそのとき、次の演技を忘れた役者のように、混乱した。直江を演ずることを忘れて、高耶に問いかけていた。「感じればいいのですか。ここであなたに性欲をおぼえるのが正しいのですか」>(『黄泉への風穴・前編』216ページ)

だ、誰か。千秋でも綾子ねえさんでも高坂(!?)でもいいから、誰かツッコミの人来て!と、思わず叫んでしまいたくなるシーンでした。
迷シーンに思いを馳せつつ撮影を楽しんだ後は、夜の横浜に繰り出します。

こちらの写真は、廊下の端から撮ったもの。こうして見ると、このホテルがカマボコ型…というか、みかんの房のような形をしているのが内側から体感できますね。

この後しばらくミラージュとは関係ない内容になりますので、飛ばしたい方はこちらをクリックして下さい。
来たことがなかったので、赤レンガ倉庫に来てみました。


赤レンガ倉庫っつうと、私らの世代では、「あぶない刑事」のイメージなんですよね…。
クリスマスシーズンなので、何かイベントをしていました。ドイツのクリスマスマーケットをイメージした出店が並び、店先ではホットワインやウインナーが売られています。


大きなクリスマスツリーは綺麗だし、雰囲気も悪くはないけれど、カップルたちの熱気にあてられ、ほぼ素通り(笑)。
みなとみらいを後にして、中華街へと向かいます。横浜に泊まるなら、やはり夜は中華を食べないと。


写真はみなとみらい遠景。観覧車の右に建っている「カマボコ」が、さっきまでいたインターコンチです。
中華街にやって来ました。             
入ったのは、「大中華」という、とってもこじんまりとしたお店。今回は私が上海蟹を食べたかったので、上海蟹が安く食べられるお店を探しました。

上海蟹は身が少なくて食べづらいんですが、ミソと内子の味は絶品です。私はもう、この蟹一杯と紹興酒さえあれば、一晩過ごせますよ(笑)。しかし、近年の報道では養殖の上海蟹からホルモン剤や抗生物質が検出されたという話もあるようですから、まあ食べ過ぎない方がいいかもしれません。

コース料理も手軽な値段であったので、蟹単品のほかはコースを注文。値段の割には大満足な内容でした。
ほろ酔い気分でみなとみらいまで戻ってきました。コスモワールドは既に営業終了。ややひっそりとした中、コスモクロックだけはまだ綺麗に輝いていました。


このコスモクロック21は、全高112..5メートル、定員480名という規模の大観覧車。間近で見ると確かにでかいです。観覧車って乗ると意外とそこそこ怖いんですよね(私だけ?)。ここのは乗ったことないので、そのうち機会があれば乗ってみたいです。
インターコンチに戻り、1階のペストリーショップでケーキを購入。時間が遅かったため、この1個しか残っていませんでした。名前は忘れてしまいましたが、ベリー系のムースケーキだったかと。とても美味しかったです。


今度はANAクラウンプラザ神戸(旧・新神戸オリエンタルホテル/クラウンプラザ神戸)で夜景を見ながら赤ワインを飲みたいという野望がむくむくと…(『夜を統べる瞳』参照)。
翌日もいい天気。


夜景も良かったけど、爽やかな朝の景色もなかなかです。
空気は澄み、川面は鏡のよう。


昼と夜の景色ってこんなに違うんだなあと改めて実感。
朝食ビッフェは滞在中の大きな楽しみのひとつ。

いくつかのレストランの中で、私たちが選んだのは、差し込む朝陽が心地いい「オーシャンテラス」。

オムレツとかクロワッサンとかフレンチトーストとか、皆美味しかったですが、私が特に気に入ったのはコレ↓
3種のモーニングベジタブルジュース。お猪口くらいのミニサイズのグラスに注いであるんですが、何回もリピートしてしまいました。美味しいし、体にも良さそう。

左:サンライズレッド
(トマト、セロリ、赤パプリカ)
毛細血管を丈夫にし、美肌効果も。

中央:ハッピーイエロー
(ニンジン、黄パプリカ、セロリ)
疲れ目や体に冷え、腸内環境に。

右:エバーグリーン
(ブロッコリー、グリンピース、セロリ、キュウリ、ヨーグルト)
むくみ緩和、疲労回復、高血圧の予防に。

こういうのがあると、ホテルの朝食ってやっぱりいいよな〜と思えますね。
さて、朝食を頂いた後は、昨日よく見ていなかったミラージュスポットをチェックしておきましょう。

こちらは2階にあるラウンジ&バー「マリンブルー」。

例の強姦未遂事件があった翌朝、高耶さんと小太郎が三浦義意から里見の陰謀について話を聞いたのが、恐らくはこのラウンジ。原作には「港が見える一階のティラウンジ」(13巻227ページ)とあるんですが、一階にラウンジはありません(かつてあったかどうかは不明)。
朝ごはん食べてお腹一杯だし、今回もこのラウンジにはお世話になりませんでしたけど、たまにデザートブッフェを開催していることもあるそうなので、機会があれば利用してみたいですね(もちろんコーヒーはミルク多めで)。


ラウンジの端の方からは「ぷかり桟橋」が見下ろせます(ラウンジ外から撮影)。ぷかり桟橋周辺は綾子ねえさんと二階堂麗子が初めて接触した場所でした(13巻220ページ〜)
最後は、この階段を。1階と2階を繋ぐ、吹き抜け部分にあるこの階段、高耶さんが降りた階段です。

<まるで映画のセットのような一階ロビーへの大きな階段を降りながら、高耶は顔をしかめている。そこは吹き抜けになっていて、階段の後ろをガラス張りのエレベーターが行き来している>(『黄泉への風穴・前編』225ページ)

何てことはない、ただ階段を降りてくるだけのワンシーンなんですけど、ドキッとしてしまうくらいドラマチックなんですよね、これが。サングラスにレザーキャップ、更に例のカシミヤコートを羽織った高耶さん、しかも隣には身長190余りの小太郎ときたら、そりゃ誰だって振り返りますよ。あ、私もこの階段を降りてみましたよ、記念に。カシミヤコートじゃなかったけど。
高耶さんが泊まった(かもしれない)部屋に泊まれたし、このホテルの部屋からしか見れない景色を見れたし、朝食は美味しかったし、満足な滞在でした。それに意外と安く泊まれるんですよ。

余談ですが、このヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル、2012年8月25日発売の『週間ダイヤモンド』で、「日本のベストホテル」ランキング中、2位にランクインしていました(日本のホテルの満足度について1万2000人の宿泊者を対象に調査した結果に基づく)。夜景の美しさもさることながら、開業21年という決して新しくないホテルが支持を得たのは、サービス面などの経営努力によるものが大きいのだろうと思われます(とは言え、実は今回の宿泊でサービス面でとんでもないアラに遭遇してしまいましたが…それはたぶん偶々だと思いますので詳細は伏せておきます)。これからも素敵なホテルであり続けて欲しいですね。

因みに上記のランキングで1位は横浜ロイヤルパークホテル、3位はリーガロイヤルホテル(大阪)でした。大阪のリーガロイヤルもミラージュスポットですね(『みなぎわ〜』で村重が狭間社長と直江を襲撃したホテル)。


2013.07.10 up






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