アウディ・ノスツアー

〜長崎の街に二十四歳の直江を探して

後 編




◆旅行日:2013年3月3日〜3月4日

◆行程:
※下線はミラージュスポット
※グレー文字は前編にて

◇3月3日:
羽田空港→(スカイマーク)→長崎空港→(長崎県営バス)→長崎新地→(徒歩)→江山楼(ランチ)→(徒歩)→唐人屋敷跡→(徒歩)→十人町〜オランダ坂→(徒歩)→大浦天主堂→(徒歩)→石橋電停→(路面電車)→松山町電停→(徒歩)→浦上天主堂→(徒歩)→原爆公園→(徒歩)→松山町電停→(路面電車)→公会堂前電停→(徒歩)→松翁軒→(徒歩)→眼鏡橋→(徒歩)→西坂公園
→(徒歩)→長崎ロープウェイ淵神社駅→(ロープウェイ)→長崎ロープウェイ稲佐岳駅→(徒歩)→稲佐山山頂展望台→(徒歩)→長崎ロープウェイ稲佐岳駅→(ロープウェイ)→長崎ロープウェイ淵神社駅→(徒歩)→宝町電停→(路面電車)→思案橋電停→(徒歩)→多ら福(夕食)→(徒歩)→ドーミーイン長崎

◇3月4日:ドーミーイン長崎→(徒歩)→築町電停→(路面電車)→長崎駅前電停→(徒歩)→長崎駅→(JR)→諫早駅→(島原鉄道)→島鉄本社前駅→(徒歩)→鯉の泳ぐまち→(徒歩)→島原城→(徒歩)→島原駅バス停→(島原鉄道バス)→雲仙バス停→(徒歩)→雲仙地獄→(徒歩)→雲仙スカイホテル(立ち寄り湯)→(徒歩)→富貴屋(ランチ)→(徒歩)→雲仙バス停→(島原鉄道バス)→諫早駅バス停→(島原鉄道バス)→長崎空港→(スカイマーク)→羽田空港

◆同行者:パートナー


※このページの画像は、別サーバーに保存したものへ直リンクを貼って表示しています。不具合を見つけた場合、管理人までご一報頂けますと、大変助かります。




こちらの地図は、前編の最初に載せたものと同じものです。


詳細地図は省略。
長崎ミラージュツアー、すべてのミッションを終え、少しの興奮と充足感を抱いたまま、稲佐山へと向かいます。


写真は浦上川を渡り終えた辺り。
西坂公園から歩いて30分余り。稲佐山の頂上へ向かう、「長崎ロープウェイ」にやってきました。


何でも「世界新三大夜景」に選ばれたという長崎の夜景を、やはりひと目見てみたいということで。
稲佐山の頂上でロープウェイを降り、展望台へ向かう間に、ちょうど日没を迎えました。
こちらが展望台。


まだだいぶ明るいですが、暮れるのはあっという間。それに、街にだんだん灯が点っていく過程が素敵なんですよね。
窓際に面したらせん状のスロープを登って、屋上へ。
こちらは、浦上の方角。


赤い矢印の先が浦上天主堂(ライトアップされています)。黄色い矢印の先には平和記念像(あのやたらとマッチョなおじさん?が天を指差している像)があります。
こちらは、長崎駅の方角(長崎駅は画面より少し右)。

建物の影になって、わかりにくいですが、赤い矢印のところに、さっきまでいた西坂公園があります。

縮小画像では何が何やら…といった感じですが、原寸大では、レリーフもちゃんと確認できました。
街とは反対の方向に行ってみると、長崎の南西にある島々が。


黄色い矢印の島(二つ重なっているように見える島影の右の方)は軍艦島だそうです。稲佐山から見えるんですねえ。
少しずつ、暮れてきました。


こちらは、浦上の方角。この中に、浦上天主堂の灯りもあります。
こちらは、長崎駅の方角。


世界で3本の指に入るほどかどうかはわかりませんが、確かにきれいですね。山、街、海という、夜景を観るには理想的な地形ですし。
残念なのは、ブレブレの写真しか撮れなかったこと(縮小するとあまりわからないかもしれませんが、原寸大は見れたもんじゃありません…)。

実はちゃんと三脚を持っていたんですが、旅行用の軽量三脚なので、手すりの高さを越えることができませんでした(意外と手すりが高い…泣)。手すりから離れたところに一段高い場所もあったんですが、人が多くて、三脚をセットする気になれず…。やっぱりゴリラポッドを買うべきか?
ロープウェイで山を降りた後、「宝町」電停から路面電車に乗車。
「思案橋」電停で降り、やってきたのは、20時半で予約済みの居酒屋「多ら福 亜紗」。

食べログで評判だったので選んだのですが、そう言えば、ウッチャンの「そうだ旅(どっか)に行こう」でハリセンボンの近藤春菜ちゃんが来てました。

何か今回、旅番組情報が多い気がしますが、俺ら実際、旅番組ばっか観てるんですよ(なのでテレ東率が高い…笑)。
お刺身の盛り合わせを頼んでみました。

まぐろ、いか、たこ、サーモン、かつおなどお馴染みのものから、さば、赤貝、平貝、うちわえび(奥の方に盛り付けされてるのが、うちわえびの頭部)など、地のもの、ちょっと珍しいものまで色々。特に、さばは新鮮で美味しかったです。

お酒は、「月のよさ」という地酒。やさしく口当たりのいいお酒です。後で調べたら、島原にある酒蔵が地元の美味しいお水で造ったお酒だそうです。この翌日、私たちは島原へ行き、あまりの水の美しさに感嘆することになるのですが、その前から知らずにその水の恩恵を受けていたんですね。

日本酒らしからぬ、おしゃれ〜なグラス(写真刺盛の奥)に入れてくれて驚きましたが、このお酒にはこんなグラスが似合うかもしれません。
他にも、山菜の天ぷらとか、海老のロールハトシ(ハトシ:食パンの間にエビなどのすり身を挟んで揚げた長崎の郷土料理)とか頼みましたが、どれもとても美味しかったです。


こちらは、シンプルに塩さば。茂木という天草灘に面した漁港のものだそう。こちらも脂がのって美味。


そして、九州に来たら、やはり二杯目は焼酎にしとくべき? ということで、麦焼酎・壱岐スーパーゴールドを。私は基本、日本酒党なので、焼酎の味のよしあしって全然わからないんですが、たまに飲む焼酎って無条件に旨いんですよねえ。
お店からホテルまで、それほど遠くないので、ほろ酔い気分で歩きます。

昭和感&地方感溢れる、こんな飲食店の前を通ったり。ノスタルジックでいい雰囲気。

五島うどん…。そう言えば、私の高校生の頃の友人で、五島に嫁いだ子がいました。その子、偶然にもクリスチャンなんですよ(高校生の時に自ら希望してクリスチャンになった)。五島も迫害の地だったようですから、色々思うところがあっただろうなあ…。今どうしているか、わかりませんが。
22時ちょっと過ぎ、今夜の宿「ドーミーイン長崎」に到着。

ドーミーインを選んだのは、実は、メールで色々教えてもらっている「ふぐ」様の影響だったりします(笑)。

日本全国に展開中のビジネスホテル・ドーミーイン。安価な割りにきれいで、何といっても大浴場があるのが魅力です(一部温泉のところもあるらしい)。ビジネスホテルでも広いお風呂に入れるって嬉しいですよね。
こちらはロビー。奥にちょっとした食堂があります。

狭くても、きれいで清潔感があります。女性も利用しやすい雰囲気です。

因みに、宿泊料は2名で6,800円(ダブルルーム)。2,500円分のるるぶポイントを500円で購入し使用したので、実質4,800円ですね。貧乏旅行、ここに極まれり、だな(笑)。
部屋も居心地がいい感じ。

いつも私たちが泊まっている激安ビジネスホテルに比べたら、きれい過ぎるくらいきれいですよ(笑)。

いや、いつも泊まってるような激安ホテルでも十分なんですけどね…。
そして、もうひとつのお楽しみ…夜鳴きそば。

ドーミーインは、無料で夜鳴きそばを提供してくれるところが結構あるようです。

シンプルですけど、〆には最高です。しっかり一人一杯平らげてしまいました。
長い一日が終わり、旅の二日目。

ホテルを出たのは、早朝6時20分くらい。この日もまだうす暗いうちに出発です。

写真は薄明の中華街北門。

築町電停から始発に乗り、長崎駅へ。
長崎駅で、JR快速シーサイドライナー佐世保行きに乗車。


先ずは諫早へ向かいます。


またしても前編の地図の使い回しで申し訳ありませんが、一応載せておきます。
この日は、相方のために雲仙への日帰り温泉旅を企画してみました。諫早駅で島原鉄道に乗り換え、有明海沿いを走って湧水のまち・島原へ。島原からはバスで雲仙まで行き、日帰り温泉を堪能。雲仙からは島原とは反対側の小浜経由のバスで諫早へ戻り、バスを乗り換え、長崎空港へ…という行程です。前日とは違い移動時間の長い旅になります。


長崎駅を出発して間もなく、車窓から「長崎県営野球場」が見えました。線路を挟んで反対側には平和公園があります。


どことなく、教会建築を彷彿とさせるようなデザインですね。長崎らしいです。
7時22分、諫早駅着。


写真は諫早駅概観。レトロな雰囲気が可愛らしい駅舎です。実際、建築年は1934年(昭和9年)だそうですので、かなり古い建物なんですね。

諫早駅で、「島原半島遊湯券」(3,000円)なる1日フリー乗車券を購入し、7時41分に島原鉄道、島原外港行きに乗車。
こちらのフリー乗車券は、島原鉄道の鉄道・バス・フェリー全線(一部除外あり)が1日乗り放題となり、更に島原や雲仙の日帰り温泉が1施設無料で利用できるというもの。元々温泉入るつもりでしたし、ちょうどいいということで。

しかし、入浴に関しては、施設によっては利用できない日もあるので事前に確認を…と書かれてあったので、ホテルに電話し、「島原半島遊湯券で…」と言うと、何それ?みたいな反応されること二度ほど。よっぽど知名度低いのかな…。
でも、利用可能施設となっているからにはきちんと周知して欲しいところです。
諫早駅を出て少し経つと、広々とした田園風景になりました。


この辺りが、例の干拓事業によって造られた農地なのでしょう。
そして、更に少し経つと、列車は海岸沿いに出て、諫早湾が見えてきました。


奥の方に長い堤防が見えます。現在も開門するかどうか、まだ揉めているようですね。
列車は、海岸線をなぞるように進み、有明海が見えてきました。

有明海と言えば、やっぱり海苔ですよね。海岸線はずっと海苔の養殖場です。

そして、海の向こうにうっすらと山が見えるのがわかりますでしょうか。対岸は熊本です。熊本…そのうち、きっと行きますよ、詰襟の高耶さんに会いに(笑)。
諫早駅から1時間弱、内陸側に目を向けると、島原半島の山々が。

右の山が平成新山。1990年に始まった噴火により新たに形成された山です。当時、火砕流によって、報道関係者をはじめ多くの犠牲者が出ました。平成新山の右肩にちょこっと出ている出っ張りが普賢岳かと。平成新山は標高1,483m、普賢岳は1,359mなので、平成新山の方が高いんですね。長崎県の最高峰だそうです。

左の山は眉山(まゆやま)。主峰の七面山は標高818.7m。平成新山よりもだいぶ手前にあります。
8時40分、「島鉄本社前」駅で下車。


島原城へはひとつ手前の「島原」駅で降りるのが近いのですが、他に見たいものがあって、こちらの駅で降りることに。
東を向くと、さっき車窓からも見えた眉山がどっしりと聳えています。

平成新山などの雲仙の山々は、この角度からだとちょうど眉山の陰になって見えないようです。

歩いたルートや地図は…、ミラツアじゃないので省略しましょうかね。
島原は「水の都」として有名で、市内には湧水ポイントが60箇所あり、1日の湧水量はなんと22万トンだそうです。

私たちは、「鯉の泳ぐまち」と名づけられた、水路に放流された鯉が泳ぐ景観を見に行きます。方向的には島原城へ向かう途中にあるので好都合。

おっと、途中で製麺所を発見。「杉村屋」というこのお店、島原の湧水で麺を打っているそうですよ。
店先に並べられたバラ売りのスープのもとに惹かれて、思わず立ち寄ってしまいました。スープのもとはこちらのお店で作ったものではないですが、1袋30〜40円とお手ごろ価格。


麺とあわせて幾つか購入してみました。後ほどお土産コーナーにて紹介します。
ありました、鯉の泳ぐ水路。


水は、本当に、驚くほど澄んでいます。
あまりにも水が透明すぎて、まるで鯉が宙を飛んでいるようにも見えてきます。
島原のこの美しい湧水は、普賢岳の火山活動の賜物だそうです。


自然による災害と恩恵は、表裏一体ということですね…。


ここで写真を撮っていると、早朝掃除中の近所の方と思しきおじさんが、この先にきれいな湧き水が見られる屋敷があるから、是非立ち寄ってみなさいと教えてくれました。
どうやら、こちらのお屋敷のようです。「四明荘」という表札が出ています。無料で見学できるとのこと。


後で調べてみたら、割と有名なお屋敷らしいです。ノーマークだったので、教えてくれたおじさんに感謝。
入ってすぐのところに、小さな湧水池?がありました。


「深いので、落ちないようご注意ください」との立て札があります。水底ははっきり見えますが、一体どれくらい深いのか想像もつきません。30pくらいにも見えますが…、意外と落ちたら胸の辺りまであったりして…。
湧水池にせり出すように縁が廻らされているこちらの建物は、明治後期に建てられたもので、庭園は禅僧を招いて造ったものだそうです。

またこの水の透明なことと言ったら…。水底に映る美しい水紋は、いつまで見ていても飽きません。

こんな屋敷に住んでいたら、どんなに素敵でしょうね。
↑の縁側から湧水を眺めて。


ここでも色とりどりの鯉たちが悠々と泳いでいます。
ちょうどひな祭りの時期だったので、四明荘のお屋敷の中には、お雛様が飾られていました。


朝いちだったにも関わらず、管理人さんは快く迎え入れて下さり、また、さっきのおじさんも場所がわかったかどうか心配だったらしく後から来てくれました。島原の人のあたたかさに触れ、この日もいい旅になりそう。
きれいな水路を眺めながらの散歩は、本当に気持ちいいです。


最初「鯉の泳ぐまち」と聞いて、「なんだそれ」と馬鹿にしていた相方も、ここの水のあまりの美しさに感嘆しきりでした。
途中、洗い場のようなところで、おばちゃんが洗濯していました。


この水路は人々の暮らしに密着しているんですね。おばちゃんがジャバジャバ洗っているそばで鯉が泳いでるけど大丈夫かな…? たぶんちゃんと配慮されているんでしょう。
「鯉の泳ぐまち」を通り過ぎ、アーケード街へ。


って、アーケードの中にも水路があってびっくり。
「島鉄本社前」駅から、寄り道しながら約45分。島原城に到着。

美しい天守ですが、島原城は復元城です。明治の廃城令によってお堀と石垣を残して解体されていた天守が復元されたのは、1964年(昭和39年)のこと。

お堀は、春は菖蒲、夏は蓮と、美しい花が彩を添えるそうです。
「築後390年を経てもびくともしない」という石垣。


頑丈なだけでなく、美しいですね。
白い五層の天守が朝日を背負う姿は、ひたすら優美です。

内部は、キリシタン史料、郷土資料、民俗資料を展示する資料館になっています。

中へ入る前に…、一旦腹ごしらえといきましょう。
天守のすぐ隣に、売店があり、その一角で軽食を食べることができます。


時刻は10時少し前。朝ごはんを食べていないので、少しお腹が空いてきました。
お蕎麦みたいに見えますが、「ろくべえ」という、さつまいもの粉で作られた麺料理なんです。食べてみると…すごく不思議な感じ。さつまいもでできているので、ツルツルっと吸える麺ではなく、長さも短くちょっとぼそぼそした感じ。味はさつまいも感が強く、ちょっと甘い…。つゆは、関西風のうどんつゆのような感じで美味しいです。私は一度食べれば十分かな…と思いました(笑)。まあ好き好きかもしれませんね。他では食べられない郷土料理なので、一度食べる価値はあるでしょう。

隣の白玉のデザートは、「寒ざらし」という、こちらも島原の郷土料理。モチモチしてて触感がよく、蜜も甘すぎなくて非常に美味。美味しさの秘訣はやはりおいしい湧水らしいです。夏に食べたらなおいいでしょうね。
お腹いっぱいになったところで、島原城に入城。

写真は1階入り口部分。復元城ですから、こういう普通の階段です。上の資料室内は撮影禁止なので、写真はここまで。

色んなキリシタン史料が展示されていて、アウディ・ノスツアーを終えた後ということもあり、興味深く拝見しました。ここにも、マリア観音がいらっしゃいましたよ。そして、ここで、これから私たちが行こうとしている雲仙も、かつてキリシタン弾圧の舞台となった地であったことを初めて知ったのでした。
幕府の役人は「山入り」と称し、キリシタンたちを雲仙へと送り、温泉の熱湯をかけるなどの拷問を加え、改宗を迫ったのだそうです。その模様が一幅の大きな絵に描かれていました。正に地獄絵図です。

雲仙がそういう過去を持っていたとは知りませんでした。ここで知ることができて良かったです。

写真は、島原城最上階。展望所になっています。
展望所から見た眉山。


この山の向こうに雲仙があります。
天守内部以外にも見所はあったようなのですが、そろそろ時間がないので島原城を後にします。


九州なら少しは暖かいかと思いましたが、この日は結構寒く…。お城の縁には水仙が清清しく咲いていました。
歩いて島原駅に到着。

ここから、雲仙を通り、諫早へと向かう島鉄の路線バスが出ています。

11時10分、雲仙へ向けて出発。
国道57号をしばらく行くと、雲仙方向に大きな山が見えてきました。


頂上部分は雲がかかって見えませんが、平成新山です。
市街地を抜け、山の中をしばらく行くと、「雲仙ゴルフ場」が見えてきました。

その向こうに見える山(左の方の山)は妙見岳で、ロープウェイで登ることができます。そこから約1時間で普賢岳山頂(写真には写っていませんが)に登れるそうです。普賢岳からは目の前に平成新山が聳える様子が見えますから、相当迫力ある眺めでしょうね。
島原駅を出て約50分、ちょうど12時くらいに雲仙に到着。


帰りも同じ場所から同じバスに乗ります。ほぼ1時間に1本しかないので、下調べ済みですが、一応バス停の時刻表も確認。
先ずは、「雲仙地獄」を散策。湯煙が上がる中を遊歩道で散策できるようになっています。

硫黄の香りが漂い、噴気がシューシューと音を上げ、火山活動の力を体感できます。箱根の大涌谷より迫力があるように思いました(地形的には大涌谷の方がダイナミックですが)。

周遊できるこの一帯を、今は観光地名として「雲仙地獄」と言うようですが、島原城で見た「雲仙地獄」の絵を思い出すと、また少し違った景色に見えてきます。この地にもキリシタンの人々の思いが染み付いていることでしょう。
そこかしこで、フツフツと熱湯が湧き出しています。
こちらは「八万地獄」と呼ばれる場所。黄色い硫黄が剥き出しになっています。


奥に建っている建物は、「富貴屋」ホテル。後でこちらのホテルのレストランで昼食を頂きます。
雲仙地獄入口から10分くらい歩いた、小高い場所に、キリシタン殉教碑がひっそりと建っています。


1627年から7年間に、33名もの信徒がこの地で殉教したそうです。
世界の歴史を振り返ってみれば、キリスト教徒も戦争をしたし、加害者側にも立っているわけですから(もちろんキリスト教に限らず大抵の宗教ってそうだと思いますが)、彼らの教義や信仰を過度に美化することには疑問を抱きますけれども…、何の悪意もない善良な市民が信仰を理由に凄惨な死に方をしたことは、繰り返してはならない戒めとして、ずっと語り継がれなくてはならないものだと思います。

彼らの最期を思えば、そっと手を合わせずにはいられません。
殉教碑の前から、雲仙の温泉地を見下ろして。

雲仙は、日本で初めて国立公園に指定(昭和9年)された地で、外国人の保養地として古くから発展してきたという歴史も持っています。なので、伝統あるホテルも多く建っています。

写真右側に見えるホテルは、あと数年で開業百周年を迎える「雲仙九州ホテル」、左奥に見えるホテルは、美空ひばりさんが療養したことで有名な「雲仙宮崎旅館」。また、「雲仙観光ホテル」というクラシックホテルもあります。
温泉地と言ったら、やっぱりこれ。温泉たまごです。


売店で売っていたので、1個買いました。まあ普通のゆで卵と変わりませんけどね(笑)。
「島原半島遊湯券」に付いている入浴券は、「雲仙スカイホテル」(写真奥の建物)を利用させて頂くことに。源泉かけ流しで、お風呂がレトロで雰囲気が良さそうだったので。

月曜だったからか、他のお客さんが一人もいなくて、雲仙一広いらしい大浴場でひとりぽつーんと長時間お湯に浸かっていました。お湯は少しだけ緑がかった鶯色(にごり湯)。ほんのり硫黄の香りがします。気持ちのいいお湯でした。

どんなお風呂か見たい方は、雲仙スカイホテルのHP(別窓展開)へどうぞ。
ゆっくりお湯に浸かった後、ランチを食べに、「富貴屋」ホテルにやって来ました。
レストラン「懐火亭」からは、雲仙地獄が見下ろせます。
相方の注文した「具雑煮」。

「具雑煮」は島原の乱の際、天草四郎が考案し、兵士たちに食べさせたという伝説のある島原の郷土料理です。

餅、野菜、きのこ、かまぼこ等、たくさんの具が入っています。具の種類は決まっていないようですが、種類も量も多いというのが、この具雑煮の特徴らしいです。
私はやっぱり…ちゃんぽんを頼んでしまいました。前日食べたちゃんぽんがあまりに美味かったので。


こちらのちゃんぽんも濃厚で、野菜たっぷりで、非常に美味しかったです。
富貴屋のお土産コーナーでお土産を買い、14時45分発のバスを待ちます。


雲仙地獄の湯煙が道路を覆っています。
予定通り、諫早行きのバスに乗車。

バスは、雲仙を挟んで島原とは反対側にある温泉街・小浜を経由します。小浜温泉は、放熱量としては日本一だそうです。

それも頷けるくらい、街のあちこちで噴気が上がっていました。
小浜に出ると、バスはしばらく橘湾沿いを走ります。

考えてみれば、二日間で長崎県の色んな海を見ました。複雑な形をしているから、海に面している部分が多いんですよね。北海道に次いで海岸線が長い都道府県らしいです。しかも、面積は北海道の20分の1とのことですから、地形的に相当入り組んでいることがわかります。

それにしても、橘湾…か(笑)。
諫早駅には予定より少し遅れて到着。少々焦りましたが、駅でオカンからのリクエストのお土産を買い、島鉄バスターミナルへ。

何とか空港行きのバスの時間に間に合いました。空港行きのバスも「島原半島遊湯券」が使えるのでありがたいです。

写真はバスターミナルの中。諫早は、地形的に要所であるため、ターミナルも大きいようです。
飛行機は18時10分発なので、空港で軽食を買い、飛行機の中で食べることに。


こちらは相方が食べた大村名物「角ずし」。魚や椎茸などの具が入った押し寿司です。何でも500年も前から伝わる大村の伝統料理なんだそうです。昔は脇差で四角に切ったことから「角ずし」なんだとか。
私は「長崎角煮まんじゅう」を。

まんじゅうの皮に東坡肉(とんぽうろう)を挟んだもの。脂っぽいかなと思ったものの、そうでもなく、美味しく頂きました。皮も美味しいし、皮とお肉のバランスもいい。
それでは、恒例、お土産紹介コーナーです。

こちらは、眼鏡橋近くの松翁軒本店で買ったカステラ。相方のお母さんと私のオカン用に。

今回、亀きち&亀ぞうが喜びそうな食べ物が見つからなくて…、諫早駅で一切れパックで売っていた(別のお店の)カステラを買って帰り、少しだけ食べさせてあげました(※基本的に動物に人間用の食べ物をあげるのはよくありません。うちではごくごく稀に特別な時だけあげています)。甘いものはほとんど食べさせないので、?という顔をしていましたが、ちゃんと食べていました。
こちらは、島原の製麺所・杉谷屋さんで購入したもの。


島原の湧水で打った麺も美味しかったですが、インスタントのスープもなかなか。特にちゃんぽんのが気に入りました。お店で食べるのにはもちろん敵いませんが、ちゃんぽんのコクとクリーミーさが再現されています。
「麻花児(よりより)」は、長崎中華街で買った中華菓子。紐状に練った小麦粉を縒って油で揚げたもの。素朴なんですが、これが意外にうまい。止まらなくなります。

「うに豆」、「ざぼん漬」、「芋大尽」は雲仙・富貴屋のお土産コーナーで購入。うに豆は、そら豆を揚げたものにうに味の衣をつけたもの。「チェリー豆」というのが長崎のお菓子として有名らしいですが、その姉妹品だそうで。もう少し、うにの風味が濃いと良かったかな。ざぼん漬はざぼんの皮の砂糖漬け。しっかり甘い…。昔ながらのお菓子ですね。お茶請けにはいいかも。芋大尽は平戸産のさつま芋を原料にした焼酎。そう言えば、まだ飲んでない…。
オカンにリクエストされて買ったのが、左のふたつ。昔、親戚の人にもらった諫早のおこしが美味しかったらしく。昔って言ったって、もう40〜50年も前のことだろうから、今もあるんだかどうだか…と思っていましたが、ちゃんと諫早駅で買えました。杉谷本舗というところのおこしです。ピーナツおこしと黒砂糖を使った黒おこし。私は食べてないけど、美味しそう。

右の「しいたけっ粉」は、島原城の売店で買ったもの。乾燥したしいたけを粉にしたもの。料理に色々使えます。添加物が入っていないので安心。味噌汁に入れても◎。
グラバー園近くの土産物屋さんで買ったビードロ。


高校の修学旅行の時に、買うか買わないかさんざん迷った挙句、買わなかった思い出が…。吹くとパリンという軽妙な音がします。だから何?って感じなんですけど、きれいだから店頭に並んでいるとつい欲しくなっちゃうんですよね。
何かアウディ・ノスツアーらしいお土産が欲しいと思って買ったのがこちらの二点。

右は、大浦天主堂の資料館の中の一角にあった物販コーナーで買ったマリア様のメダイ。

左は長崎空港で買ったステンドグラスのストラップ。

長いツアーレポート、お読み頂きましてありがとうございました。
二十四歳の直江が長崎の街に残した足跡をそのまま辿った今回のアウディ・ノスツアー。二つの天主堂の中を拝観し、マリア観音に出会い、長崎の坂道を歩き、歴史に触れ、地球のエネルギーを感じ、郷土の美味しいものを頂き…一泊二日の中でたくさんのいい体験ができて、非常に満足な旅でした。
長崎という土地を実際に訪れると、そこかしこでキリシタンに縁のあるものに出会います。トラバス司祭は架空の人物ですけれども、彼のような「転び伴天連」は実際にいたわけで(もちろん、殉教した「伴天連」もいたわけですが)、教会を拝観したり、残されたキリシタン史料を目にしたりするにつけ、『アウディ・ノス』というお話が、より生々しく胸に迫ってくるような感じを覚えました。そして、マリア観音を抱きながらそんな長崎の地を歩いた直江の気持ちも、ぐっと心に染みてくるのでした。お話としては短編だった分、密度が濃いミラツアになったような気がします。
『アウディ・ノス』は番外編ですけれども、邂逅編を除くと、本編の流れの中では、時系列的に最も古い部分のお話なんですよね(『凍てついた翼』はこの1年くらい後?)。彼らの「前生」に最も近く、内容的にも「前生」を引きずった話かと。その「前生」を描く「昭和編」がいよいよ始まりましたけれども、この短編は、考えてみれば、本編と昭和編を繋ぐような位置にあるお話だと言えるかもしれませんね。遅ればせながら、私は今ちょうど昭和編を読み始めたところでして。「直江の片想い」がとても楽しみ(笑)です。
昭和編を期に、皆さんもアウディ・ノスツアー、如何ですか?


万歩計データ:
3月3日:24577歩
3月4日:9595歩

2014.02.03 up








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