チャンチャン劇場

高耶さんの調伏修行・其一 〜なんちゃって上杉景虎編





これは高耶さんがまだ上杉景虎としての記憶を取り戻す前の話である。
調伏すらままならぬ高耶さんは悶々とした日々を送っていた。
本当にオレは上杉景虎なのか?
何かの間違いではないのか?
挫けそうになる心に鞭打ち、高耶さんは修行することにした。
どんなに過酷な苦行も辞さない覚悟で直江に手解きを頼んだのだが…。



高耶: おい直江! この骸骨武者たち、本当に「チョーブク」とやらで退治できるんだろうな!?

直江: 問題ありません。あなたはかの冥界上杉軍総大将・上杉景虎なのですよ? 自信を持って下さい。

高耶: 早く「チョーブク」しようぜ、こんなズタボロの怨霊たち気味が悪くてたまらねぇ!

直江: そうですね。では、私の言った通りに真言を唱えて下さい。いいですか? いきますよ?

高耶: おう早くしてくれ!

直江: ノーマックサンナンダ・ボダナン・パンチラマンダヤ・ソワカ!

高耶: は? 何か今変な単語入ってたぞ! おい!? 本当にそれ真言か?

直江: 真言ですよ、ある意味

高耶: ある意味って何だよ! 一体どういう意味なんだよ!?

直江: いいえ、マックは三男です。パンチラは好きですか? という意味です。

高耶: いや、意味わかんねぇから、それ! 何語だよ一体!!(マックって誰だよ!)

直江: わからない人ですね。高耶さん、あなた記憶もないのに意味不明の真言を覚えられるんですか? あなたが覚えやすいようにわざわざアレンジしたんじゃないですか。

高耶: アレンジって…。

直江: テスト勉強もゴロ合わせで覚えたりするでしょう? あれと同じですよ。

高耶: そ、そうなのか?

直江: さあ早く真言を!

高耶: お、おう。こうなったらやけくそだ! ノ、ノーマックサンナンダ・ボダナン…パ、パンチラマンダヤ・ソワカ!!

直江: そうです、その調子!

高耶: っておい。全然効いてねえぞ…。

直江: おかしいですね

高耶: おかしいですね、じゃねえ!! 何か他の真言ねぇのか!?

直江: わかりました。では裂炸調伏にしましょう。 アリ・ナリ・トナリ・アナル・オア・チクビ!

高耶: ブーッ!(高耶さん思わず噴き出す) てめぇふざけてんのかぁ!!

直江: さあ高耶さん! アナル・オア・チクビ!?

高耶: どっちの何とかショーみたいに言ってんじゃねぇ!! てかオレにそれを選ばせてどうするつもりだ!!

直江: 早くして下さい、高耶さん!

高耶: 冗談じゃねぇ! ぎゃー、骸骨が襲って来るぞ! もういい。他のやつ教えろ、毘沙門天がどーたらこーたらっていうのがあるだろ!?

直江: 照れ屋さんですね、まあいいでしょう。では、いきますよ…ナントナク毘沙門天!

高耶: は!? 今何つった?

直江: ですから、「ナントナク毘沙門天、悪鬼征伐、我に御力与えたまえ!」です。

高耶: ナントナクって! 何となくでいいのかよ!!?

直江: 何となくでいいんです。今のあなたには毘沙門天も何となくしか力を貸してくれないでしょうから。

高耶: くっそー馬鹿にしやがって。オレはなんちゃって上杉景虎かっつうの。でも背に腹は代えられねえ! 行くぞ! 何となく毘沙門天! 悪鬼征伐、我に御力与えた…ぎゃああ!! だ、だめだ直江! 全っ然効かねえ!

直江 やっぱりだめでしたか。

高耶 やっぱりって何だよ!! どうすんだよ、こいつら!!

直江: 致し方ありません。かくなる上は最終手段です。

高耶: っておい! どこ行くんだ、直江ぇぇっ!!!

直江: 逃げるに決まっているでしょう。総大将たる者、せめて逃げ足くらい速くなくてどうするんです!? これも修行のうちです!

高耶: ちくしょう、こんな目に遭わせやがって! こんな修行たくさんだ! オレ、本当に上杉景虎なのかよ? もう…自信なくしそうだぜ(涙目)。



チャンチャン。







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●あとがき●
途方もなくバカですみません。
「なんとなく毘沙門天」は、ニ●動のコメにあった空耳から頂きました。
あんまり●コ動のことを書くのはどうかと思うのですが、あそこでミラージュ観ると、ほんと面白いっす。