「箱根旅助け」で巡る群青ツアー

〜駒ヶ岳山頂から大涌谷へ、二大スポットを繋ぐ旅



◆箱根のミラツアについて◆
箱根は複数回訪れています。
それぞれの主な訪問場所は次の通りです。
夏雨煙る箱根遊覧
2011年8月20〜21日
早雲寺、箱根神社など
芦ノ湖東岸ウォーキング
2012年8月16〜17日
九頭龍(本宮)など
「箱根旅助け」で巡る群青ツアー
(このページ)
2012年9月15〜16日
駒ヶ岳山頂、大涌谷など



◆旅行日:2012年9月15日〜16日

◆行程:
※下線はミラツアスポット

◇9月15日:
東京駅→(JR東海道本線)→小田原駅→(伊豆箱根バス)→箱根園→(ロープウェー)→駒ヶ岳山頂→(徒歩)→箱根神社元宮→(徒歩)→神山ハイキングコース入口→(徒歩)→大涌谷→大涌谷観光センター・遊乃花(ランチ)→(伊豆箱根バス)→塔ノ沢→(徒歩)→ひめしゃらの湯→(送迎バス)→箱根湯本→(伊豆箱根バス)→大平台→(徒歩)→箱根嶺南荘

◇9月16日:
箱根嶺南荘→(徒歩)→大平台→(伊豆箱根バス)→箱根園→(ロープウェー)→駒ヶ岳山頂→(ロープウェー)→箱根園〜箱根園水族館→(芦ノ湖遊覧船)→元箱根港→(徒歩)→ラ・テラッツァ→(徒歩)→元箱根港→(芦ノ湖遊覧船)→湖尻港→(伊豆箱根バス)→風祭・鈴廣かまぼこの里→(伊豆箱根バス)→小田原駅→(徒歩)→小田原城→(徒歩)→入船(夕食)→(徒歩)→小田原駅→(JR東海道本線)→東京駅


◆同行者:パートナー


※このページの画像は、別サーバーに保存したものへ直リンクを貼って表示しています。不具合を見つけた場合、管理人までご一報頂けますと、大変助かります。




前回の箱根旅から一月後、またもや箱根に行くことに…。相方がポーラ美術館に行きたいらしく…。私としては駒ヶ岳から眺望を期待できる冬に行きたかったのですけどね。でもこの日の天気はまずまずの気配。


今回のミラツアのミッションは、もちろん、前回取りこぼした駒ヶ岳と大涌谷です。
いつもは割と綿密にスケジュールを立てて、(実際にその通り動けるかどうかはともかく、一応…)時間配分なども五分刻みくらいで考えているのですが、今回は立ち寄る場所が多くないので、予定表を作りませんでした。気ままな感じで出発です。


8時半前に小田原駅に到着。今回は小田急系の「箱根フリーパス」ではなく、西武系のフリーパスを使ってみよう!ということで、小田原駅前にある伊豆箱根バスの案内所で購入したのがこちら…。
「箱根旅助け」、2800円也(二日間有効)。

2012年4月に「箱根スマイルクーポン」から改称したもので、まだまだ浸透していないようですね…と言うか、西武系列のフリーパス自体、小田急系に押されていてマイナーだと思うんですが…。

前回のレポートにも書きましたが、箱根では小田急系、西武系とそれぞれがフリーパスを発行しており、各々の会社が運営している乗り物にしか乗れません。この「箱根旅助け」は、伊豆箱根バス、芦ノ湖遊覧船、駒ケ岳ロープウェー等が乗り放題となり、更に箱根園水族館に1回無料で入園できるというフリーパスです。
二社のフリーパスは、それぞれ乗り物の運行範囲が異なっているので、どちらを選択するかは、行きたい場所によって決めるのがいいようです(料金的には箱根フリーパスは小田原駅で買うと3900円なので、箱根旅助けの方が安い)。私たちは駒ヶ岳に行く予定(前回芦ノ湖東岸をだらだら歩いたので、今回は歩きたくない…)ですし、箱根も三度目なので少し趣向を変えたいということで、今回は西武系を選択。


早速、小田原駅前から箱根園行きの伊豆箱根バスに乗車しました。


今回の旅では、駒ヶ岳山頂から大涌谷まで続くハイキングコースを歩いてみることにしました。二日あるうちのどちらで駒ヶ岳に登るかは天候次第ということで、もう一日は箱根園水族館と相方の希望でポーラ美術館に当てる予定。マップ上で、赤は箱根のミラツアスポット、オレンジは今回チェックしたプチミラツアスポット、緑はミラツアとは無関係に立ち寄った場所です(一部予定変更で行けていませんが…)。

10時過ぎ、バスは箱根園に到着し、駒ヶ岳ロープウェーにやってきました。箱根の玄関口・箱根湯本で降りずにそのまま箱根入りするのって何だか変な感じ…。


気になるのは天気ですが…部分的に雲はあるものの、霧はかかっていません。一日目に、駒ヶ岳登頂を決行することにしました。
前回はこの辺りまで来たら真っ白で、芦ノ湖を見おろすこともできませんでした。


目の前の鉄塔の高さは、芦ノ湖の最も深いところの水深(43.5m)とほぼ同じなのだとか。
山頂駅に到着。おおー。ちゃんとロープウェーの駅の建物が見える(笑)。

そして、前回よくわからなかった氏照兄と綱成叔父さんが待ち合わせていた「見晴らし台」ですが、もしかしたらこの山頂駅のすぐ脇の展望所?のことなのかなと推測がつきました。
氏照兄は「見晴らし台の縁石に腰掛けて」いました(『群青』158ページ※文庫版)が、ベンチがちゃんとあります。でも、よくよく見ると、ベンチのすぐ後ろに縁石らしきものも。ベンチは後から造ったものかもしれませんね。
<天然の見晴らし台と呼ばれるだけあって、駒ヶ岳の山頂からの眺望は本当に素晴らしい。芦ノ湖が真下に見える。まるで箱庭を見おろしているかのようだ。山を越した向こうには青々とした海が拡がる。反対側にいけば小田原市街が一望の下だ。>(『群青』159〜160ページ※文庫版)


写真は、山頂駅脇の見晴らし台からの眺め。確かに、芦ノ湖が真下に見下ろせ、その向こうには海(駿河湾)が見えます。


参考までに、駒ヶ岳山頂のマップを作ってみました。
氏照兄と氏綱叔父さんは、見晴らし台で落ち合った後、
「山頂の遊歩道を歩き、元宮へ参拝」(『群青』160ページ※文庫版)していました。私たちは、相模湾展望広場、中央広場を経て元宮へ向かいます。

山頂駅から相模湾展望広場へ向かう道(南側の遊歩道)。


前回は、心細くなるほど真っ白けっけだったんですよね…。
相模湾展望広場。


ここも前回は視界ゼロでした。この日は雲はあるものの、爽やかな夏空といった感じ。そして、眼下には…。
相模の海が。思わず…
「三郎ーーっ!」
と叫びたくなる気持ちを抑え(笑)。


縮小前の画像では、小田原城の雄姿も確認できました(右下辺り)。
中央広場まで来ました。


前方に見えるのは、ロープウェーの山頂駅。それにしても、この山頂駅、どことなく廃墟のように見えます。建設から相当の年数が経っているのか、ロープウェー自体もかなり老朽化が進んでいるように思えますし、こういうところも小田急系と比べると西武系エリアは寂れた感じがどうしてもしてしまうんですよね。もっとも、この駒ヶ岳山頂に関してはこのひっそり感が素敵なんだと思いますけど。大涌谷みたいに人でごった返してたら、雰囲気ぶち壊しですしね。
中央広場から、元宮へ登る道。


上の方に赤い鳥居と屋根が小さく見えています。
長い階段を登った先に鳥居があります。


青空を背景に見上げる赤い鳥居は、思わず目を見はるような美しさ。
<駒ヶ岳は、霊地・箱根の中心となる山だ。その北側にそびえる神山を神籬として、古より山岳信仰の聖地とされてきた。いわば箱根霊場の発祥地だ。今でこそロープウェイで手軽に登れる山だが、昔は修験者や熱心な登拝者しか受け入れぬ山だった。>(『群青』100ページ※文庫版)


夏でもひんやりとした風が吹くこの見晴らしのよい山頂は、確かに、俗世から隔離された、神聖な場所のように感じられます。
物語中盤で、里見の刺客がここを分念襲撃の拠点としていたことが判明し、綱成叔父さんは憤慨していましたね。箱根神社を崇敬してきた北条にとって、この場所がどんなに大切なものだったか。それを考えると、『群青』のラストシーンがこの場所であったことも、あのラストシーンで氏照兄が抱いていた想いも、より深く心に染みてくる気がします。
社の左手には…、ありましたありました。氏照兄と綱成叔父さんが立っていた広場。
<社の左手は小さな広場になって、そこからは御神体である神山が正面に、そして左手向こうには雪をかぶる霊峰・富士の秀麗な姿が望める。(略)ふたつの神峰が立ち並ぶ姿は、それはそれは雄大で、ひどく神聖な光景だと氏照は思うのだ。>(『群青』160ページ※文庫版)


写真は広場から見た神山。その左手にあるはずの富士は、残念ながら雲に隠れて見えませんでした。


東へ視線を転じると、ここからも相模湾が見下ろせます。

<小田原の海が拡がる。相模の海だ。氏照はひとり、その眺めをいつまでも見つめていた。遠い北の地に旅立った弟が、とても愛した、懐かしい海だ。自分たちの故郷だ――……。――北条とは、豊穣……。遠い昔に聞いた父の言葉がよみがえる。氏照はじっと自分の体を抱きしめるようにして立ち、遥かな海を見つめた。>(『群青』164ページ※文庫版)

熱血漢で、猪突猛進タイプの氏照兄。しかし、己の信じる正義のために、愛する者ひとりを犠牲にできなかったところが、彼の弱みであり、結果的に北条の敗因となった…。と言えばそれまでかもしれませんが、一族の繁栄とその下に実現させるべき泰平の世をかなぐり捨てても、かわいそうな末弟ひとりを救ってしまう氏照兄を誰も憎むことはできないでしょう。北条は滅んでも、弱きもの小さきものへ向けた氏照兄の慈しみの心は、弟・三郎の中にしっかりと受け継がれていたのではないでしょうか。後の高耶さんの生き様から、そんなふうに感じます。そして、それだけで、氏照兄は救われるんじゃないかな、なんて、彼らの愛した海を眺めるとそんなことを思ってしまうのです。

ふと足元を見ると、草原に咲くアザミにヒョウモンチョウが止まっていました。
山頂駅に戻ってきました。
山頂駅の前から見上げる元宮。本当に、駒ヶ岳の一番高いところに建っているんですね…。


冬に来ると相当寒いらしいですが、一度来てみたいです。冬の澄んだ空なら富士山もよく見えるかもしれませんしね。
さて、私たちは、山頂駅の北側から伸びる神山ハイキングコースの入り口にやってきました。


ここから、神山を経て大涌谷まで行きます。
何か花が咲いてるなーと思って、取りあえず撮ったのですが、後で調べたら、これがトリカブトだったんですね…。初めて見ました。
ハイキングコースは、最初こそ歩きやすい道でしたが…。
すぐにクマザサが両脇に生い茂る山道となり…。
やがて、道すら見えない状態に。


これ、一応、真ん中に道が伸びているんですよ。ササを掻き分け掻き分け進みます。
こんな道で大丈夫なのか? 本当に大涌谷に着くのか? と少々不安を覚えましたが、歩いていると、たまに登山者とすれ違うので、一応ちゃんと使われているハイキングコースのようです。
しばらく鬱蒼と生い茂る木々の中を進みます。


足元は、小さなコケの世界です。
20分ほど歩くと、再び開けた場所に出ました。


神山が目の前に聳えています。


更に少し行くと、コース案内図がありました(↑の写真はもっと先で撮影した案内図。ここで見つけた案内図は直射日光が差して上手く撮れなかったので。なので、この時点での「現在地」は、駒ヶ岳を出発して最初の分岐路になります。※黄色い点の箇所)。
元々、神山の山頂を通るつもりでしたが、この案内図によると、どうやら山頂に登らずに麓を迂回する道もあるようですので、私たちは楽な迂回路を取ることにしました。

鞍馬山の木の根道かと思うような道も。
木々が途切れると、相模湾が見渡せました。
メタリックパープルが美しいこの生き物は、センチコガネ(或いはオオセンチコガネ。どちらなのか見分けがつきませんでした)という昆虫らしいです。


同じ種でも地域によってグリーンだったり、ブルーだったり、パープルだったりするのだとか。神秘的ですね。でも、食するのは動物の糞らしいです…。
神山山頂コースと麓迂回コースの分岐点から、歩くこと1時間20分ほど。ようやく、大涌谷の噴煙地が見えてきました。


しかし、随分歩きました。歩きにくい箇所も多かったので、疲労度合いもかなりなもので。前回の旧街道よりもきつかったです。
噴煙地を望遠で見ると…こんな感じ。


名物・黒玉子を売っている玉子茶屋が見えますね。結構な賑わいです。
こんな注意書きも見られました。


実際、神山の麓から大涌谷に抜けるルートは火山性ガスのために閉鎖されることもあるようです。
硫黄の臭気を含んだ蒸気が歩道まで流れ込んできます。
コースのゲートから出て、ハイキング終了(写真はゲートから出て振り返ったところ)。駒ヶ岳山頂のハイキングコース入り口から2時間以上歩きました。


ガスが濃く、危険になると、このゲートが閉鎖されるようです。
大涌谷駅付近まで降りてきました。


松田弟とのバトルの最中、氏照兄と綱成叔父さん(憑坐は氏政と交換)が立っていた「ロープウェイの駅から駐車場に続く道に張り出した展望所」というのはここかと。
『群青』終盤で、氏政の車を尾行する松田弟は、風魔の幻術にとらわれ、この大涌谷へと誘導されてきます。


<そこは大きな谷である。巨大な地滑りの跡のようだ。斜面には、いくつもの砂防堰が上のほうまでこしらえてあり、黄土色の山肌のあちらこちらから白い湯気のようなものが出ている。>(『群青』128ページ※文庫版)


巨大な谷で松田弟は氏照と対峙し、激しい念波戦を繰り広げます。追い込まれた松田弟は、氏照を道連れにするつもりで、地中に念の塊を注ぎ、地崩れを引き起こしたのでした。

<大涌谷の大斜面を、土砂が猛烈な音をあげて流れる。噴き上げた硫気と水蒸気が土砂を巻き込み、あたりを真っ白に包んで谷底へと流れていく。地獄の有り様だ。冠ヶ岳を揺るがして、斜面の崩壊は一気に谷底まで流れきった。>(『群青』137ページ※文庫版)

結局、松田弟が見ていた氏照は幻で、本物は展望所に立ち、松田弟が土砂に呑み込まれる様を見届けていたのでした。
↑の写真、もっと広角で撮れたら谷の様子がよく伝わったと思うのですが、これが限界でした。実際、展望所から見下ろすと、結構な迫力です。砂防堰の他にもパイプやら何やら人工物が色々あるんですが、これは一体なんの施設なのだろうと気になって調べたら、どうやらここは「造成温泉施設」らしいです。つまり、噴気で人工的に温泉を造り、周辺の温泉施設に供給しているのだそうです。かつては「大地獄」なんて呼ばれたおどろおどろしい谷ですが、人々に癒しを与えてくれているわけですね。大自然の恩恵に感謝です。

時刻はすでに2時近く。私たちは、大涌谷観光センター内にある「遊乃花」というレストランで昼食を取ることに。


頼んだのは名物・地獄つけ麺。お椀の中には黒玉子のような焼き鉄が入っていて、目の前でスープを注いでくれます。盛大に立ち上る白い蒸気が正に大涌谷の噴煙のよう。
蓋をして蒸気が収まるのを待ってから食べます。スープはピリ辛の豚骨&かつおベース。ちぢれ麺によく絡んで、なかなか美味しかったです。パフォーマンスも良いし、観光地のレストランにしては頑張ってる印象を受けました。
麺の量が意外と多くてお腹いっぱいです。


が、コイツはやはり別腹ですね。こちらも名物らしいたまごソフトクリームとやらを買いました(これはミックス)。


ミルクセーキっぽい味です。
宿のチェックイン時間にはまだいささか早いということで、足の疲れを癒すため、日帰り温泉に入ることに。大涌谷から伊豆箱根バスに乗り、やって来たのは、塔ノ沢にある「ひめしゃらの湯」。木々に囲まれた静かな露天風呂で、至福のひとときです。


※こちらの「ひめしゃらの湯」は、2012年10月末で営業を終了した模様です(2013年3月に新しい日帰り温泉施設がオープンするそうです)。
気分もリフレッシュしたところで、ひめしゃらの湯の送迎バスに乗せてもらい、箱根湯本駅までやってきました。


先にバスの時間をチェックしてから、商店街で少しお買い物。
伊豆箱根バスの時刻表。本数少ないんですよね…。


西武系を利用するのも、小田急系を利用するのも、それぞれ利点と弱点があるわけですが、こういうところは、小田急系に敵わない部分ですよね…。
さて、今宵の宿がある大平台でバスを降りました。


箱根十七湯のひとつ、大平台温泉は、1951年に開湯した、こじんまりとした温泉場です。
宿に向かう途中、箱根登山鉄道の線路を渡ります。


箱根と言うと、登山鉄道と箱根ロープウェイのイメージが強いので、これに乗らないと何となく物足りない気もしますね。
歩いて7分ほどで、「箱根嶺南荘」に到着。ここはセンポスの宿(船員保険の被保険者が安く泊まれるが一般客も宿泊可能)です。今回は安さ重視ということで、相方がインターネットで探しました。


外観も何となく「保養所」といった風情。私たちが利用したのは、一泊二食付9000円の「訳ありプラン」。訳ありの「訳」とは、眺望が道路側で、部屋がエレベーター横ということらしいです。
5時半過ぎにチェックイン。


写真はロビーからの眺め。
お部屋は居心地の良い和洋室。
特別豪華ではないけれども、品数は多くて満足な夕食でした。


食堂で食べるのですが、社員旅行風のお客さんが多くて、わいわい賑やかでした。
部屋からの眺めは確かに良くはなかったですが、箱根登山鉄道の列車がスイッチバックをするところが見られました。ネットのクチコミによると、鉄道ファンの方には好評とのことらしいです。


夕食を食べると、眠気が差し、二人ともそのまま眠ってしまいました。深夜1時くらいに起きて、お風呂に行くと、遅い時間だからか、誰もいなくて貸しきり状態。のんびりできました。
そして風呂上りに一杯。


でも、何だか疲れていて、日本酒の方は家に持って帰って飲みました。やっぱ昼間のハイキングが効いてるな…。箱根の山、侮るべからず。
明けて二日目。宿の朝食を食べ、出発したのは8時半。本当はもっと早く出たかったのですが、朝食の時間が決まっているので致し方ありません。素泊まりなら自由が利いていいんですけどね。

大平台から伊豆箱根バスに乗車し、小涌園付近を通過しました。ここは『覇者の魔鏡』にちらっと出てきましたね。鏡に封じられた景虎からのメッセージを頼りに箱根入りした直江がウィンダムで通った場所です。

<どこかで見たような車外の景色は、箱根駅伝のコースで毎年正月にテレビ中継されるものだが、それに気づいたのは、箱根小涌園横のカーブをきったところだった。>(『覇者の魔鏡・中篇』8ページ)
黄色い矢印が、直江のウィンダムが通った道(国道1号)。右奥、木々の向こうに微かに見える建物が、ホテル小涌園です。この付近には他にもカーブがありますが、小涌園に一番近いのはここです。重箱の隅をつつくようなプチミラツアスポットでした(笑)。


さて、私たちのバスはさっきの小涌園で国道1号から離れ、大涌谷へ向かう県道734号に入りました。

こちらの写真は、大涌谷付近で撮ったもの。箱根で、初めて富士山を見た気がします。
もしかして、今日駒ヶ岳に登れば富士山が見えるかも?と期待しつつ箱根園までやってきました。


が、ここまで来るとどういうわけかやっぱり曇っているんですよね…。
それでも、折角フリーパスを持っているのだから、今日も登ってみようということに。


山頂の天候はどう見ても良くはなさそうなのに、ロープウェーの改札口には行列が。電車みたいにダイヤ通りに運転するわけじゃないんだから、運行間隔を短くすればいいのにと思ってしまいますが…、どういう理由かはわかりませんが、お客さんがいっぱいなのになかなか出さないんですよね。しかも乗り込む前にいちいち記念写真を撮られるし(後で売りつけられる)。もちろん断れますけど。
山頂には、前年ほどひどくはないものの、霧がかかっていました。


山頂駅から見上げる元宮も霧にかすんでいます。
芦ノ湖は雲の切れ間に微かに見える程度。


やはり、この季節は、眺望を期待するのは難しいですね。
ロープウェーの途中からは、陽が差してくるんですが…。駒ヶ岳の山頂は特別雲がかかりやすいようです。


写真は眼下の森に映るロープウェーの影。
さて、この後は、ちまちましたミラツアスポットは出てきますが、ほとんど個人的な旅行記になっていますのでご了承下さい。


ロープウェーから降りて、やってきたのは、「箱根園水族館」。「旅助け」で1回無料で入館できます。
箱根園水族館は、標高723メートルに位置し、海水水族館としては日本一標高が高いところにあるのだそうです。


海水は、同じ西武系列の「伊豆・三津シーパラダイス」から毎日タンクローリーで輸送されてくるのだとか。
入館すると、ちょうど、海中ショーの最中でした。
ペンギンもいます。


ペンギンって泳ぐのすごく速いんですね。写真を撮るのに一苦労でした。
カラフルな魚がいっぱい。
こんなのも。
箱根園水族館は、海水館、淡水館、バイカルアザラシ広場と3つのエリアに分かれていますが、一番の見所はやはりバイカルアザラシ広場で行われるバイカルアザラシショーです。


ショーは一日2〜3回行われます。私たちは11時からのショーを見学。
バイカルアザラシは、頭はいいものの臆病な性格のため、芸を仕込むのはとても難しいそうです。


そんなアザラシ君が見せてくれた最初の芸は…握手(笑)。
他には、手を振って見せたり、体を回転させたり、投げた輪っかを取ってきたり、投げたビート板を取ってきたり。


あ、これは一応、サーフィンってことらしいです(笑)。
そして、箱根園名物になっているらしい「温泉アザラシ」。


これも、芸のうち…なのかな?(笑)。


おおーっと驚くようなパフォーマンスはないですが、ほのぼのした癒し系のショーが楽しかったです。
中にはほとんどショーをしないで、飼育員のお兄さんに餌ばかり強請っている子も。これはこれでかわいい。
水族館を出た後は、芦ノ湖遊覧船の乗り場へ。


写真は、箱根園のアーケード街。お土産屋さん、レストラン、手作り体験コーナーなどがあります。
箱根園の桟橋。
遊覧船が来ました。


箱根に来ると、毎回小田急系の海賊船に乗っていたので、こちらの遊覧船は初めてです。


因みに、この桟橋からはモーターボートも出ていて、チャーターすれば九頭竜神社まで行けるそうです。
芦ノ湖遊覧船は、双胴船です。二つの船体を繋げる形だと安定性が高いのだとか。


双胴船かどうかということはともかく、外観から言うと、私はこの西武系の遊覧船の方が好きです。海賊船はすでに箱根の名物となっていますし、子供たちは喜ぶのでしょうけれども…。芦ノ湖の景観に馴染むのは、こちらの船かなあという気がします。
え? 本当にこんなに空いてていいの? と心配になってしまうくらい人の少ないデッキ。
360度の視界を持つ展望席。


別料金は必要ありませんし、海賊船のように混んでいないので非常に快適です。


でも、経営が心配だから、もう少し皆に乗って欲しいな…なんて余計なことを思ってしまいます。
海賊船とすれ違いました。やはりあちらは盛況のよう。


この日は三連休の中日で、箱根には人が溢れかえっているはずなんですが…。芦ノ湖遊覧船はこんなに空いていて本当に大丈夫なんでしょうか…。
箱根神社の前を通り過ぎます。


鳥居の近くにスワンボートがいました。貸しボートで近くまでいけるんですね。
元箱根港に到着。


時刻は12時半過ぎ。ランチを取ることにします。
おっと、ここでプチミラツアスポットを。

<遠山康英が小太郎と会うために指定した場所は、箱根神社にほど近い元箱根の伊豆箱根桟橋の駐車場だった。>(『覇者の魔鏡・中篇』151ページ)

桟橋の正式名称が「伊豆箱根桟橋」なのかどうかはわかりませんが、伊豆箱根鉄道グループ(西武系)の遊覧船の駐車場ならここです。観光船が発着すると書かれてあるので、恐らくここのことを指しているのでしょう。それにしても、景虎様は遠山に本当に雄のツツガ鏡を奪わせるつもりだったのか、それとも遠山が小太郎に消されることを見越してけしかけたのか…。いずれにしても恐ろしいお方だ。
相方の希望で、元箱根港にほど近い「ラ・テラッツァ」にやってきました。地元の素材にこだわっているというイタリアンレストランです。


かなり待つようなので、名前を書いてから、併設されているミュージアムやセレクトショップで時間を潰します。
結局1時間も待ってからようやく席に着くことができました。こんなに需要があるということは、付近に似たような店を作ればすぐに儲かるのでは?なんて思いたくなるほどでした。


通されたのは二階席。吹き抜け部分があったりして、ちょっとお洒落な感じです。確かに人気があるのはわかる気もします。
マルゲリータを注文。


窯焼きのピザを売りにしているだけあって、これは美味しかったです。生地がモチモチ。
秋刀魚とネギとナスのスパゲッティ。


こちらはまあまあ、かな。ネギとナスがもっとたくさん入っていると良かったと思います。
ラ・テラッツァで美味しそうなアイスクリームがあったので、テイクアウトしてきました。


ヘーゼルナッツとブルーベリー&ラズベリー。ヘーゼルナッツのが特に美味しかったです。
元箱根から再び芦ノ湖遊覧船に乗り込みました。


湖尻を目指します。
山に囲まれた湖、雲間から差し込む光。

都心から手軽に来れる観光地の割りには、芦ノ湖は神秘的で幻想的な雰囲気のある湖ですね。

直江はこの湖の底に高耶さんと眠ろうと思ったのだなと思って眺めると、ちょっと切なくなります。

私たちは湖尻から伊豆箱根バスに乗り、相方が行きたがってたポーラ美術館へ向かいます(小涌園ユネッサン前で箱根登山バスに乗り換え)。
そして、またまたプチミラツアスポットが。湖尻三叉路です。

<ひたすら北進する三台は湖尻手前の三叉路で、右に折れた。山側に続く道だ。>(『群青』122ページ※文庫版)

『群青』で、氏政、氏照がそれぞれ乗り込んだ車、それらを尾行する松田弟の車の三台は、芦ノ湖東岸の道路を走ってくると、この三叉路で山側の道へと入っていきました(黄色い矢印が走行経路)。

私たちが乗っているバスもその山側の道へと曲がっていきます。
<車列に動きが出たのは、姥子のバス停あたりにさしかかったときだった。すぐ前を行く氏照の車が一台だけ、右にウィンカーを出したのである。>(『群青』123ページ※文庫版)


姥子のバス停。氏照の車は右手の細道に入って行ったとのことですが、その細道はわかりませんでした。バスの左側の座席に座ってしまったので。
バスは箱根ロープウェイの真下を通ります。

バスの運転手さんが言うには、この日はこの先にひどい渋滞があるので、大幅に遅れるとのことでした。その通り、この後、渋滞が始まり、乗り換え地点の「ユネッサン前」に着いた時にはすでに4時前(湖尻から1時間もかかった)。折角行ってもほとんど観る時間が取れないということで、ポーラ美術館は断念しました。私たちが諦めようかと話していると、運転手さんは「すみませんねえ」と申し訳無さそうに言ってくれて。もちろん運転手さんのせいではないですし、すごく親切な方でした。アクシデントがあっても、こういう優しい方がいると、気分的に救われますね。
美術館を断念した私たちは、そのまま小田原行きのそのバスに乗り続け、「風祭」にやってきました。


ここには、鈴廣が経営する「かまぼこの里」という施設があります。
かまぼこについて色々学べる「かまぼこ博物館」というのもあるのですが、開いているのは5時までなので、この時は間に合わず。


「鈴なり市場」で亀きち&亀ぞうへのおみやげを探します。
鈴なり市場の隣には、鈴廣蒲鉾の本店があります。


高級蒲鉾や贈答用の蒲鉾を売っています。
再び伊豆箱根バスに乗って、小田原まで帰ってきました。


写真は小田原駅前。今回は、小田原で夕食を食べて帰るつもりです。
その前に…。折角だから、小田原城をひと目見て行こうと。


線路際の道から夕闇に包まれる小田原城を見上げました。箱根旅の締めくくりが小田原っていうのは、やっぱりいいなあ(ミラージュ的に)。
もともと、獲れたての魚が美味しいらしい「ふわり」という居酒屋に入るつもりだったのですが、人気店なのかあいにく満席。姉妹店の「ゆらり」にも行ってみたのですが、こちらも満席であえなく玉砕。翌日も休日だったので、どこも混んでいたのかもしれません。


ふらふら歩いて、通りすがりに見つけたのが、この「入船」。
カウンターに通され、先ずは、地魚(鯵)の竜田揚げとイイダコの梅肉和えで乾杯。


店内はこじんまりとしていて、常連さんが多いような印象を受けました。
お店一押しの「入船丼」、1850円。結構なボリュームです。二人でシェアしました。


他にもいくつか握り寿司を注文。美味しいのですが、値段が少々高いのが残念です。
小田原駅からは電車に乗って帰路につきました。

今回の箱根旅では、初めて西武系パスポートを使いましたが、めいいっぱい活用できたと思います。二度駒ヶ岳に登りましたし、水族館も入りましたし、遊覧船も乗りましたし。この「箱根旅助け」、駒ケ岳や九頭龍神社(本宮)のミラージュツアーにはお勧めしたいです。

西武に関しては色々文句も書いてしまいましたが、小田急に負けないように頑張って欲しいなあと思います。駒ヶ岳という神聖で素敵なエリアを擁しているのですから、上手に施設運営して欲しいものです。
それでは、恒例おみやげコーナー。


鈴なり市場で買った「特製浮はんぺん」。亀きち亀ぞうも大喜び。私たちも食べましたが、ふわふわで美味しかったです。
今回の旅ではほとんど物を買わなかったのですが、唯一買ったのがこのポストカード。


ランチを食べた「ラ・テラッツァ」に併設されていたお店で買いました。玉村豊男さんという方のイラストです。この旅は相模湾を見下ろせたのが印象的だったので、海の魚、サヨリのイラストを。左の方は、中国の焼き芋屋さん。中国に居た時に、冬になると毎日のように買っていたので懐かしくて。どんなに大きくても、1個20〜30円くらいだったな(今はさすがにもう少し高いはず)。


箱根ミラツア三度目にして、ようやく駒ヶ岳山頂の宿願が叶いました。でも、山頂から富士山を見てないんですよね…。「ふたつの神峰が立ち並ぶ姿」というのを、いつか見てみたいです。相方が行きたがっていたポーラ美術館に行けなかった(実はヤフオクでチケットを入手済みだった)ので、箱根との縁はまだ切れていないようです。雪景色の箱根なんてのもオツでしょうね。
この後、10月には広島に行ってきました。そのレポートは…もしかしたら年明けになるかもしれません。これが今年のミラツア納めと思っていたのですが…、12月頭に祖谷に行くことに決まりまして。ああ四国。ついに四国。ミラツア初四国ですよ。








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